夢の雫、薔薇色の烏龍
(ゆめのしずく、ばらいろのウーロン)


2017年5月号サイドパロ

【あらすじ】
 エジプト帰還後の母后のサロンで、イブラヒムはヒュッレムの産んだメフメト皇子に触れなかった。
第一皇子ムスタファには臣下の礼をとり、ミフリマー皇女は抱き上げたが、
第二皇子メフメトには触れなかったのである。
 その理由を聞くために、ソコルル・メフメトを通して、
アヤソフィアでイブラヒムと直接話をすることになったヒュッレム。
 自分の産んだ皇子、メフメトが次の皇帝になるために、
メフメトも後見してくれるのかとイブラヒムに問います。
 答えはNOでした。
 メフメトがスレイマンの子ではなく、自分の子である可能性もあるため
メフメトは後見しないと言います。スレイマンの後を継いで帝国を治める者は
スレイマンの血を継ぐ者でなければならないとイブラヒムは考えます。
そのため、もう一人皇子を産むようにと、ヒュッレムに告げます。
スレイマンの後を継ぐ皇子は確実にスレイマンの血を継ぐ皇子でなければならないのです。
 メフメトの存在を完全に否定されたヒュッレム。

 これから寵姫ヒュッレムと大宰相イブラヒムの長く深い戦いが始まります。


【サイドパロ】

「ど、どういうことです? ラムセス?」
 ソコルル・メフメトが青い顔をしてラムセスにたずねた。
 隣にいるメフメトはヒュッレムとイブラヒムのあの一夜を知らないのだ。
あの時一緒にいたシャフィークはメフメトにも言わなかったのであろう。
「まあ、そのままの意味だな。メフメト殿下はイブラヒムの子の可能性もあるという……」
 色々な意味で言いにくいことなので、ラムセスは語尾を濁す。
「ええっ!」
 メフメトはそばかすの上の目を大きく見開き驚く。
「な、なんでそんなことに……」
「う……ん、愛し合う二人にとっては仕方ないことなのかもしれないが……
まあ……大罪だよな。このことは俺とシャフィークしか知らない」
 メフメトはゴクリと唾を飲む。青い顔をして頷いた。
「そ、そうですか……。それでイブラヒム様はメフメト殿下の後見はできないんですね。納得できました」
「でもメフメト殿下の後見はせず、もう一人スレイマンの血を引く皇子を産めって……
じゃあ、メフメト殿下はどうなるんだよ。皇帝になれなかった皇子は殺されるんだろう?」
「はい、そうです。ヒュッレム様は納得できないでしょうね」
 ソコルル・メフメトが青い顔をしてゆっくりと頷く。
「イブラヒムにとっては自分の子が殺される可能性もあるわけだろう?
誰もメフメト殿下がイブラヒムの子かもしれないと疑っているわけじゃないんだ。
別にそのまま後見したっていいと思わないか?」
「う……ん、そこは真面目なイブラヒム様のことです。スレイマン様への忠誠は固いものなのでしょう」
「そうだけど……お堅いな。イブラヒム……」
 ラムセスはチッと舌打ちする。
 お堅いイブラヒムのことも好きだし、陽気なヒュッレムのこともいいと思っている。
結ばれる運命にはなかった二人だが、穏やかな良好な関係は保って欲しいと望んでいた。
 メフメト殿下のことで、二人の関係が悪化しませんように……そう願うラムセスであった。

***
サイドパロとあらすじが同じような長さになってしまった。スミマセン。
これからイブラヒムとヒュッレムの関係がドロドロしていくんですね。
展開が楽しみです。次号も期待!(^-^)

ねね









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