18号続き



 自ら命を絶ったウルヒは前帝アルヌワンダ1世暗殺の重罪より、
死体をハットゥサ城壁に晒されることとなった。大逆人には当然の罪だと誰もが思った。
またウルスラの冤罪が承認され、その名誉を回復するため神殿に祭られることとなった。

***************

「きゃあああああ、出たのよ出たのよ!」
「うそっ! こわーい!」
「おそろしー!」
 王宮付きの女官たちが数人集まってキャアキャアと騒いでいた。
単なる女官たちの井戸端会議と思いきやそうではないようである。
「どうしたの? みんな?」
 もうすぐ立后が噂されるユーリが不思議そうに女官たちに近づく。
「これはこれはユーリさま。ヒッタイト王宮七不思議がとうとう出たのですわ!」
「ヒッタイト王宮七不思議?」
 ユーリは黒い瞳をクリクリさせてきょとんとする。
「ええ、ご存知じゃありませんの? 世にも恐ろしいヒッタイト王宮七不思議です。
今まで六不思議だったのですが、今さっき七不思議になったのです!」
「七不思議? なんだか暑い夏には持ってこいの涼しそうな話ね。聞かせて聞かせて!」
「じゃあ、七不思議を見た者から一つずつお話をさせて頂きますわね……」
「うんうん、早く話して!」
 怖い話大好きのユーリは体を弾ませて女官たちの話を聞いた。


<不思議パートT>
「わたくしは王宮付きの女官ウメと申します。19歳独身です。チャームポイントは
パッチリとした大きな目でございます。わたくしの見た不思議とは……。
 ある夕暮れのことでございます。水を汲みにポリバケツを持って井戸へ行くと、
(何故古代にポリバケツが……笑)
一人の黒髪の女性が井戸の淵に手をかけて井戸の中を覗いていました。
『どうかしましたか?』と声をかけると、その黒髪の女性はゆっくりと振り向いて……、
『私って綺麗?』と言いました。私はポリバケツを落としました。
何故ならその黒髪の女性は、前皇帝の暗殺の罪で処刑された女官ウルスラだったのです!
それはもう恐ろしゅうございました」
 女官ウメは肩を震わせながらユーリに言った。
「まあ! ウルスラがそんなところに? 早速カッシュに知らせてあげなくっちゃ!」
 ユーリにはこの怖さがが全く分かっていないようである。

<不思議パートU>
「わたくしは王宮付きの女官トメと申します。21歳既婚でございます。
チャームポイントはEカップの胸でございます。わたくしの見た不思議とは……。
 ある昼下がりのことでございます。王宮の庭のお掃除をしていると、
茂みでシクシクとすすり泣く声が致しました。声は男のもののようでした。
泣き声の方に行くと……、老年の男がしゃがみこんで地面に向かって泣いていました。
『どうかなさいました?』と声をかけると……
『私があのような正妃を選んだためにヒッタイトは大混乱してしまって……。
カイルよ、すまんのう。女を見る私の目がなかったのがいけないんじゃ! ううっ、シクシク』
と前々帝シュッピルリウマ1世陛下がヒゲ面の顔をグチャグチャにして泣いていたのです。
わたくしは声をあげて逃げました。ああ! なんと恐ろしい!」
 女官トメは強く目を閉じて恐ろしさを現した。
「あら! シュッピルリウマ1世陛下も反省してるのね、カイルに教えてあげなくっちゃ!」
 やはりユーリ、この恐ろしさを分かっていないようである。

<不思議パートV>

「わたくしは王宮付きの女官スミと申します。18歳独身です。チャームポイントは
170pの長身にスラリと長い足でございます。わたくしの見た不思議とは……。
 ある早朝でございます。皇帝陛下の湯殿を用意するため、台所でお湯を沸かし
沸いたお湯を湯殿に持っていったときのことでございます。
わたくしは王宮の廊下で一人のヘイゼルの瞳を持った美しい青年と
ぶつかりそうになりました。『すみません』と謝ると、その青年は
『いいえ、こちらこそ、それより兄上はどちらにおられるかな?』
『皇帝陛下ならまだご寝所です』と答えました。『ありがとう』という言葉を
残しその青年は去っていきました。――わたくしは沸いたお湯をその場に
こぼしました。な、なんとそのヘイゼルの瞳を持つ美しき青年はザナンザ皇子だったのです!
ああ、なんということ!」
 女官スミは天に向かって祈りをささげた。
「えー! ザナンザ皇子に会ったの? きゃああ、カイル喜ぶわ!」
 さっぱりユーリに恐ろしさは伝わっていないようである。

<不思議パートW>
「わたくしは王宮付きの女官ミネと申します。17歳独身です。チャームポイントは
美しき黒髪でございます。わたくしの見た不思議とは……。
 お昼前のことでございます。昼食前に王宮の城壁を歩いていましたら、
おいしそうな串焼きの匂いがしました。『まあ、いいにおい』と思い
においのほうに近づいて行くと……、ハゲアタマのゴツイ男が焼き鳥を焼いていました」
「わかったわ! そのハゲ頭はミッタンナムワね!」
「違います。わたくしは焼き鳥を買おうと、ゴツイ男に『塩とタレ5本づつ下さい』
といいました。『はいよねーちゃん! うちの焼き鳥は全部皮付きだけどいいかい?』
その男の顔を見ると――なんと! コミックス2、3巻で出てきた皮好き男ズワだったのです!
皮が好きだから、焼き鳥も皮付きしか焼かないのです! ああ! なんと恐ろしい!」
 恐ろしさのあまり女官ミネは涙をこぼした。
「私はタレより塩のほうが好きだな」
 当然ユーリにこの恐ろしさは分かっていないようである。

<不思議パートX>
「わたくしは王宮付きの女官フネと申します。22歳5人の子持ちでございます。
チャームポイントはうなじにあるセクシーなホクロでございます。
わたくしの見た不思議とは……。
 ある日中のことでございます。洗濯物を取り込んでいると、突然サソリの仮面をつけた女が
現れました。『きゃあ!』と悲鳴を上げると『わたくしはサソリの仮面をかぶる
アクシャム仮面! おーほほほほほ!』と言い、せっかく綺麗に洗った洗濯物を
泥だらけにしていったのです! 恐るべし! アクシャム仮面!」
「アクシャム仮面が……クレヨンしんちゃんのアクション仮面を真似ているのかな?
 本当に恐るべし! アクシャム仮面!(爆)

<不思議パートY>
「わたくしは赤い河倶楽部付きのパロ女、薔薇子と申します。年齢は聞いてはいけません(笑)。
チャームポイントは薔薇でできている脳みそございます。わたくしの見た不思議とは……。
 ある早朝でございます。わたくしはテレホを使って早朝ネットをしようと
ネットにつなげようとすると……、ネットに繋がらないのです。
おかしいと思い電話線を確認してみると、なんと薔薇のマントを羽織り蜂蜜色の肌に
オッドアイを持つ男が薔薇子の命である電話回線を握っていたのです。
『きゃあああ! 薔薇ムセス〜!』と叫ぶと『うるさいぞ! パロ女!』といい
わたくしの唇を彼の口で覆われたのです! ああ、なんて嬉しい♪」
「いっーやああああああ! おそろしー! きゃあああああ!」
 ユーリは今までで一番大きな悲鳴を上げた。
 ユーリにとって薔薇ムセスは相当怖いらしい……(笑)。

<不思議パートZ>
「え〜、まだ不思議あるの? パートYより怖い不思議はいやよ〜」
「わたくしはねねわーるど付きの絵描き女、さおりと申します。以下省略(爆)。
わたくしの見た不思議とは……。
 ついさっきのことでございます。どっかにネタは落ちていないかと散歩していると……
目の前にマントを羽織った一人の金髪の長身の男が立ちはだかりました。
ううっ、なんだこいつ! と思うと、その男は『ジャ、ジャーン!』とコウモリが
羽を開くようにマントを広げたのです。もちろんマントの下には何も着ていませんでした。
『うおおおおお! ウルヒのお宝がぁぁぁ!』――わたくしは急いでスケッチブックを
取り出しスケッチにとりかかりました。金髪のマント男の正体は、ヒッタイト城壁に
その死体を晒されたウルヒだったのです!」
「まあ! ウルヒのお宝が? ウルヒ、裸が癖になちゃったのね。
ああ、かわいそうなウルヒ……」
 ユーリは黒い瞳に涙を溜めた。

 変態ウルヒの出現のおかげでヒッタイト七不思議はついさっき完成したのである(爆)。

♪終わり



どえ〜、長くなっちゃったよ〜。ごめんねぇ。それより何だこの続きパロは……。
皆さま、不思議T〜Zの中で何が一番怖かった?(笑)
ナキア、やはり取り乱しませんねぇ。最初に会った場所、王宮内の泉。
そこに何があるのか? さあね、ねねは知りませーん(-。-;) (おい!)
 ここでプチ続きパロ。

 ナキアは泉に行ったが、結局何もなかった。
「くそっ! 何もないではないか!」
 怒ったナキアは石を水面に投げつける。
 すると……ブクブクと水が音を立て中からウルヒが出てきた。
「あなたの落とした斧はこれですか?」
「いいえ、わたしが落とした(投げた)のは石です」
「それは正直だ。この斧を差し上げましょう! そしてユーリの首をこの斧で
切り落としてくるのです!」
「よしっ!」
 ……これじゃホラーだよ(爆)。


 カイルとユーリのラブラブシーンで薔薇が飛んでましたね。あれはですね、
きっとラムセスが2人の寝室にしのびこんで蒔いているんです(笑)。

さて、おわり。






[BACK]