****タイタニック編****

キャスト
 ジャック:カイル
 ローズ:ユーリ
 キャル:ラムセス
 ローズの母:ナキア
 ジャックの弟:ザナンザ
 タイタニック設計士:イル・バーニ
 モリー・ブラウン婦人:ギュゼル
 碧洋のハート:ユーリのチョーカー(紅のチョーカー)

 1912年4月10日、不沈の豪華客船と言われるタイタニック号は、イギリスのサザンプトン港から
アメリカ、NYに向けての処女航海の途についた。1等船客、2等船客、3等船客、様々な人々が
タイタニック号に乗りこむ。皆、豪華客船での旅に希望に満ち溢れながら笑顔で乗船していた。
だがそんな中にグレーのスーツに薔薇模様のネクタイ、薔薇色のワイシャツ、
胸ポケットに一輪の薔薇をさした青年にエスコートされながら、浮かない顔をした少女がいた。
名前はユーリ。隣にいる薔薇男ラムセスと結婚するためにアメリカに引き戻されるのだ。
浮かない顔も無理ないだろう。
 ユーリの浮かない顔とは裏腹に 他の乗船客の誰より喜びに満ち、希望にあふれている
青年達がいた。名前はカイルとザナンザ。彼らは、3等切符だが、ついさっきポーカーで
勝ってアメリカへの切符を手にしたのだった。思いがけない幸運に2人は胸を躍らせている。
 ――念願のアメリカへ帰れる、それも世界一豪華なタイタニック号で! 彼らは乗船するや否や
船の甲板へ出て船首へかけて行った。船首から下の海を覗くと タイタニック号と競うようにして
イルカが泳いでいる。
「おい、見ろよザナンザ。イルカだ」
「すごいですね。兄上」
「おっ、飛ぶぞ」
 カイルとザナンザの乗船を祝福するようにイルカは大きくジャンプした。
 希望に満ちた瞳でカイルは船首の柵に登り、両手を上げて大声で叫んだ。
「オレは世界一だぁ。なんてったって皇帝陛下だからなー。三等切符だけど!」
「そうです、兄上。世界は我らのものです」
 ……ちょっと意味不明なことを口走っているが放っておこう(笑)。

 その夜、カイルが船尾近くの甲板で仰向けになり、静かに星空を見つめていた。
何千年の古代からずっと変わらぬ空である。
 すると、バタバタという足音がカイルの頭の上を通り過ぎた。ビックリして
起きあがると一人のまだ若い少女が 船尾の柵から身投げしようとしているではないか!
「あんな、変態薔薇男と結婚なんてイヤ。もう私には残された道はこれしかないわ」
 とユーリ黒い瞳に涙を浮かべ船尾に立っていた。
「や、やめろ」
 カイルがおそるおそる声をかけた。
「こないで。近寄ったら飛び込むわ。あなたに何が分かるの?」
 二人沈黙のままみつめあう。
「わかった。君がやめないと言うなら、私も一緒に飛び込もう。飛び込む時は一緒だ」
 とカイルは上着を脱いでユーリの方に近づいて行った。
「だめよ。あなたが死んだらヒッタイトはどうなるの? ナキア皇太后の思うままがじゃない。
わかった。やめるわ」
 とタイタニック本編とは全く違う理由だがユーリは身投げをやめたので
これで良かったこととしよう。ユーリが柵のこちら側にくるのを助けるために 
カイルは手を差し伸べた。するとユーリの着ていたドレスが引っかかり、足をすべらしてしまった。
「キャアアアア!!! 落ちる〜〜〜〜」
 悲鳴をあげるユーリ。カイルはなんとかユーリの手をつかんでいる状態だ。
「おっ、身投げするつもりじゃなかったのか? このまま手を放して落としてやろうか?」
 と意地悪をいうカイル。
「やっぱり死ぬのはイヤー。お願い引き上げてぇ〜」
 懇願するユーリ。ケイトは重かったので引き上げるのは大変そうだったが、
ユーリは軽いのでカイルは軽々引き上げた。だが、引き上げたときユーリのドレスは切れ
まるでカイルが強姦したような姿だった。そこへ運悪くユーリの悲鳴を聞きつけた
警備員がやってきて、カイルは強姦未遂の罪で捕まってしまった。

「許さん。我が愛しのユーリに手を出すなんて。3000年遅い!」
 オッドアイの薔薇男は三等船客のカイルに怒りの言葉をぶつけた。
「違うのよ、ラムセス。あの方は私を助けてくれたのよ。船の……プロペラを見ていたら足がすべって
しまって……。それをカイルさんは助けてくれたの。命の恩人よ」
 疑い深げだが、ラムセスは一応信じたらしい。
「疑って悪かった。我がハニーを助けてくれたお礼に薔薇を100本やろう」
 ラムセスはカイルのもとに薔薇が届くよう命令した。
「愛する女の命が薔薇100本?」
 ユーリが目を丸くして言った。(そりゃそうだ)
「お気に召さないかな。じゃあ、君を明日ディナーに招待しよう」

 次の日カイルとユーリは船上を歩きながら、お互いの身の上話をした。
「私はね。結婚させられるの。家のための政略結婚だけどね。相手は大富豪で
ルックスも悪くないけどオッドアイの薔薇好きの変態男。そんな男と結婚するくらいなら、
いっそのこと身投げしてしまおうかと思って……。それで昨夜はあんなことを……。
古代王侯貴族たちが次々と政略結婚させられてた気持ちわかるわ」
 と寂しそうに言うユーリ。
 カイルは何も言わず聞いてくれた。
「私は幼い頃、母が謎の死をとげ、父も七日熱で亡くなってしまった。
父は某王国の皇帝だったが、父の死後、国は混乱し滅びてしまった。
今は 弟ザナンザと二人みなしごハッチさ。でも私には夢があるんだ。
絵を売って有名になり、いつかは国の再興をする。戦いのない平和な国だ。
どこの国にも侵されず、侵さず、市民が安心して暮らせる平和な国を将来築きたい」
「すてきな夢ねカイルさん。私のようにひかれたレールの上を歩くんじゃなく、
自分でレールを作って歩む人生。うらやましいわ」
 ユーリはニッコリとカイルの瞳を見つめていった。 
 ユーリは美人かと問えば、もっと整った目鼻立ちの女性は他にもたくさんいることであろう。
だがこのときのユーリの表情が、カイルの心をはっとさせた。
たまらなく愛しくかわいいと思えたのである。
 突然ラッパが鳴った。夕食の合図のラッパである。
「じゃあ、カイルさん。夕食でお会いしましょうね」
 母、ナキアと共にユーリは着替えに部屋に帰った。
 トントン、カイルは後ろから方を叩かれた。振り向くと髪の長いきれいな女性が立っていた。
 名前はギュゼル、新興成金の一人の大金持ちである。カイルはとっさに「タイプだ」と思った。
「ちょっとあなた。ディナーに着て行く服は持ってるの?」 
 首を振るカイル。
「仕方ないわね。貸してあげるわ。こっちへいらっしゃい」
と言ってギュゼルは自分の部屋にカイルを呼んだ。
(ここでなんかあると変な想像している人もいるかもしれないが、その想像どうりに話を進めると 
滅茶苦茶になるので ここではギュゼルは親切なおばさん……いやおねえさまということにしておこう)
「私にもカイルっていう息子がいるのよ。なんか親近感があるわ」
 と言ってカイルに新品のタキシードを貸してくれた。
「ぴったりね。よかったわ」
 上品そうな笑顔でギュゼルは笑った。
「ありがとう。おばさん」
「誰がおばさんじゃい!」
 カイルはギュゼルに張り手を加わされた。

 軽やかな音楽が流れる1等船客の夕食の席。男性は皆、タキシード。
女性は皆、きらびやかなドレス。そのなかでいっそうタキシードが似合う青年、カイル。
まるで本当の1等船客のようだった。ユーリはカイルのタキシード姿に完全に一目惚れしたようだ。
(私も見てみたいカイルのタキシード姿...BYねね)
 ラムセスがチクチクいやみを言い、カイルを侮辱をしたが カイルは自然な振るまいで交わしていった。
それがまた、ユーリの気を惹いたらしい。カイルもユーリに密かに想いを寄せはじめていた。
 ナキアはどうやら二人のその様子に気づいたらしい。冷ややかな目つき(いつも)でカイルを見ていた。

 次の日、ユーリがメイドにコルセットを締めてもらっているところにナキアが入ってきた。
「変わるわ、お茶の用意を」とメイドにナキアは言った。
 ギュッギュッとユーリのコルセットを締めながらナキアは言った。
「もうあの男、カイルとは会わないで。あなたはラムセス様と婚約してるのよ」
「あんまり怒ると鼻血が出て、小じわが増えるわよ」
「ふざけないで、この結婚が私達の生きる道なのよ。ラムセス様は未来、ファラオになる方です。
あなたはファラオの妻になれるんですよ。女と生まれてきたからには王妃になり頂点に立つ。
これが女の最高の幸せなのです。(そう思ってるのはあんただけ)
そしてわたくしはゴージャスな老後を迎えるのよ」
「責任を私の肩に押しつけるの?」
「自分勝手な娘ね。カイルなんかのどこが良いのだ。カイルなど高校の歴史の
教科書に載っていないではないかその点、ラムセス様は歴史の教科書にも載っている
後世にも名前を残しているお方です」
「私が自分勝手? 自分勝手はお母様じゃないの? それに奴はラムセス1世よ。
有名なのは2世でしょ!」
「仕方ないのよ。私達は女。それが女の運命なのよ」
 ナキアはユーリをなだめるように言った。ナキアが部屋を出て行くや否や今度はラムセスが
部屋に入ってきた。
「ユーリ、プレゼントしたいものがあるんだ」
「薔薇ならもういらないわよ。もう部屋中 薔薇の匂いでくっさくって」
「いや違う、これは結婚式まで待とうとおもったが……」
 といいながらユーリの首にずっしりおもい赤い宝石のついたチョーカーをはめた。
「なに? この赤い宝石ダイヤ?」
「200カラットのレッドダイヤモンド、別名薔薇ダイヤだ。もとは古代ミタンニ王国の王太子が額飾り
として持っていたらしい。その額飾りが当時のヒッタイト帝国のタワナアンナであり戦いの女神、
イシュタルに献上されチョーカー型に形を変えた。名前は紅(くれない)のチョーカーだ」
「すごい」
「君のほしいものは何でも買い与えるオレを受け入れてくれ。心を開いてくれ」
 ラムセスはやさしくユーリに言った。
 ユーリはそっとチョーカーを握り締めながら 押し黙った。

 母ナキアに説教され、ラムセスからは価値のつけられないほどのダイヤを貰った。
ラムセスと結婚することが自分にとって一番いいことなのかもしれない。
確かに母ナキアの言うように、食べるもの着るものに困らず一生暮らすこともいいかもしれない。
安定した生活は すべての女性と言っても過言ではないほど望んでいることだろう。
だけどそれでいいのだろうか? 親の言うがままに結婚し、分かりきった人生を送る。
そんな人生で面白いのだろうか? と思いながらユーリはナキアの部屋の前を通った。
「ちょろいちょろい、あんな小娘騙すなんて。ユーリのやつすっかりラムセスと結婚する気に
なったらしい。これで私の老後も安心じゃ。ウルヒや、落ち着いたら再婚しような」
「はい、ナキア様。ユーリの結婚のおかげで私達も安泰ですな」
「ほほほほほほほ」とナキア。
「ひひひひひひひ」とウルヒ。
 この話を聞いて、ユーリは呆然とした。結局、母ナキアは自分の事しか考えてない、
そのうち黒い水を盛られて殺されてもおかしくはない……。もうこれはカイルについていく
しかないわ! と思いカイルの元へ走って行った。(ちょっと話が突飛かしら?)
 カイルもこのひどい母と変態婚約者の話を聞いてユーリがかわいそうに思った。
それにユーリはわりと好みだ。実をいうとカイルはちょっとロ○コンの気があるらしい。
カイルが国を再興する時、きっとユーリは自分と同じ物を見つめ、
国民に愛される王妃となってくれることだろう。

 人目を避けて、ユーりはカイルを部屋に呼び入れ、ラムセスから贈られた「紅のチョーカー」だけを
身につけて自分の肖像画を描いて欲しいとは頼んだ。カイルは勿論のこと2つ返事でOK。
ユーリはチョーカーをつけて服を脱いだ。
 ……とカイルは目を丸くした。
「ユーリお、おまえつけ胸だったのか? ドレスから見えた胸の谷間はあれは偽りか……
実を言うとぺ○ャパイだったのか!?」
「文句言わずにささと描けー」
 怒るユーリ。(爆)
 カイルはちょっとがっくりしながら、ユーリの絵を描いた。描き終わるや否やカイルは
我慢できなくなって、その場でユーリを襲ってしまった。
 その頃、タイタニック号は、氷山警戒の警告を無視し、氷山に向かって航路を進めていた。

 幸せの絶頂のカイルとユーリ。そんな幸せの中、タイタニックは船首から氷山にぶつかってしまった。
1等船室では衝撃もわずかで乗客は気づかなかったが、浸水した3等船室では騒然となった。
氷山がぶつかった時、ちょうど外にいたカイルとユーリは状況の悪さをよく把握していた。
ユーリは通りかかったタイタニックの設計士、イル・バーニを問い詰めた。
「イル・バーニさん。あなたなら頭いいからわかるでしょ。あの氷山は何? この船はどうなるの?」
 イルは小声でユーリに言った。
「この船は沈みます、1,2時間で。どうかこれはここだけの話に、パニックが起こります。
救命ボートに乗るんです、ボートの数はわかっていますね」
 ユーリもカイルも信じられない面持ちでイルを見た。
「お母様とラムセスに知らせなきゃ」
 船の沈没の事を言うためにカイルとユーリは部屋へ行った。一方、ユーリの心も体も
カイルのものになってしまったと知ったラムセスはカイルを紅のチョーカー盗み
に仕立て上げた。カイルは船底の警備室のパイプに手錠で繋がれてしまった。

 船中には、救命胴衣が配られ、救命ボートの準備もされていた。甲板では少しでも乗客の
心を静めようと楽士たちが演奏を続けている。乗客の半分しかない救命ボートには
1等船客の女、子供から乗せるようだ。ユーリは1等船客の女性なのですぐに 
ボートに乗る順番が来た。
「ユーリ、ボートに乗りなさい」
 母ナキアが言った。
 首を振るユーリ、どうやらユ―リは母ナキアと一緒に行くつもりはないらしい。
「さよなら、お母様。あなたとは前から合わないと思っていたのよ」
 とナキアに捨て台詞を残してその場を立ち去った。
「ユーリ!、ユーリ!!!」
 と叫ぶナキア。どうやら彼女はジュダでなくとも子供に対する執着心が強いらしい。
カイルの元へ行こうとするユーリをラムセスは止めた。
「ユーリ!なんであんな男がいいんだ! オレと結婚すれば毎日薔薇の花園でローズティーを
飲みながら暮らせるんだぞ。カイルなんかの所へ行くな!!!」
「その薔薇がいやなのよ」
 ラムセスに唾を吹きかけ カイルの元に走った。
必死の思いでユーリはカイルを救出し、2人は勢いを増す水と闘いながら船上へと向かって行った。
 ボートの数も後わずかとなったデッキでは 我先にとボートに乗ろうと殺到している。
ユーリは女性ということで彼女だけボートに乗れるようだ。カイルはユーリにボートへ乗るように言った。
「いやよ。一緒じゃなきゃ乗らないわ」
 するとカイルとユーリの後ろからラムセスの声がした。
「なんて格好してるんだユーリ。ほらこれを来てろ」
 突然後ろから現れたラムセスは自分の羽織っていたコートをユーリに羽織らせた。
「ユーリ、席は確保してある。そこにカイルも乗れる。だからボートに乗るんだユーリ」
 ユーリの不安な顔をよそに無理矢理ボートに乗せられた。
「よーし、降ろせ」
 船員の声と共にボートは徐々に降りて行く。
「嘘がうまいな。本当は席なんか確保してないんだろ」
 カイルがラムセスに言った。
「席は確保してある。ナキアの黒い水を少し頂戴して船員にのませてある。
君は乗せないように命令してあるがね」
 カイルはとっさにラムセスを見た。だが何も言わず、無言のまま海面へ降りて行くユーリを
じっと見送っていた。船上で打ち上げれた遭難信号の花火が悲しげな光を放っている。
ユーリもカイルをじっと見つめていた。ボートが海面に近づくにつれ、
カイルと自分との距離がどんどん離れていく・・・。
 とうとう気持ちが抑えきれなくなったユーりは 海面へと降りかけたボートから
再び船へ戻ってしまった。
「ユーリ!」
 カイルは叫び、ユーリの元へ走った。
もう2人は離れられない。死ぬのも生きるのも一緒でなければ...。
(残念だけどラムちゃんあきらめてね)

 船は船首から沈没し どんどん傾きかけていた。船に残された乗客は少しでも長く船上に
残ろうと、船尾に向かって皆走って行く。カイルとユーリもなんとか船尾まで辿りついた。
タイタニックの船尾は完全に上がりいよいよ船が沈む時が来た。どんどん海面が目の前に
迫ってくる。
「どうなるの?」
「船が沈む直前に深呼吸を。水を蹴って水面に出るんだ。私の手を離すんじゃ
ないぞユーリ。私を信じろ!」
「信じるよ。カイル!」
 不沈の豪華客船と言われたタイタニックはとうとう大西洋の底に向かって沈んでいった。
船から投げ出された無数の人々がおぼれている。海水は肌を刺すように痛い。
カイルはユーリを板の上に乗せて寒さから守った。
「凍えそう。手足の感覚がないわ」
「ユーリ、必ず助かる。無事助かってたくさんの子供を産む。彼らを育て年をとって
温かいベットの上で死ぬ。今夜、こんなところでは死なない。いいね」
「愛してるわ。カイル」
「よしてくれ、サヨナラ言うのはまだ早い。約束してくれ。私のために死なないで生き残ると、
何があろうと最後まであきらめないと。今、約束してくれ」
「約束するわ。あきらめない。決して」

 救助の船が来たのも空しくカイルは瞳を閉じたまま目を再び開くことはなかった。
そのままゆっくりとカイルは大西洋の海に沈んでいってしまった。

 すべては終わった。これから彼のいない人生にどんな意味があるだろうか?
救助に来たカルパチア号でユーリは呆然としていた。夜明けの寒さに身震いし、ラムセスが
羽織らせてくれたコートのポケットに手を入れるとふと手に触れたものが……。
 それはあの古代の秘宝「紅のチョーカー」だった。

 あれから80数年、ユーリはカイルの分も生きた。幸せな結婚をし、氷室夕梨となり子供ももうけた。
だが、カイルのことを忘れたわけじゃない。ずっとずっと胸の奥に思いを秘めていた。
今でも紅のチョーカーの赤のように カイルへの恋心はメラメラと燃えている。
しわだらけの手でユーリは自分の気持ちを込めるように紅のチョーカーを握った。
 しばらくの間チョ―カーを見つめ、穏やかな表情でカイルが永遠に生きる海にそっと
紅のチョーカーを投げ入れた。
                       <完>

セリーヌ・ディオンのMY HEART WILL GO ON を頭の中で流してください。


 

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 ユーリのために死んで行くカイルが見たくてちょっとカイルを
殺してしまいました。本編じゃ、まずそんなことはないだろうから...。
 ユーリのチョーカーの色って確か青ぽかったような気がしたけど
まあ、そういう細かいことは気にしないで下さい。なにせ薔薇色じゃないと
ラムちゃんの気は収まりませんから。(笑)