天は赤い河のほとりの紹介

天は赤い河のほとり
 
〜Anatoria Story

原作:篠原千絵/週間少女コミック連載/小学館

◆中3の少女、鈴木夕梨(ユーリ)はごく普通の女の子。ユーリはデートの途中、
公園の水たまりから出てきた「手」によって紀元前13世紀のヒッタイト帝国へ
連れていかれる。「手」の主は水を操る魔力を持つヒッタイト帝国の皇妃ナキア。
ナキアは自分の息子ジュダを帝位につけたいがため、他の皇子を殺す生贄として
3000年の時を隔てユーリを呼び寄せたのだ。
◆知らない土地、知らない言葉。皇妃ナキアの私兵に追われ逃げたユーリは、
ナキアが一番邪魔に思っている皇子、前王妃の息子カイルに側室として
かくまわれることとなる。ユーリの古代にはない現代的な発想や人を思うやさしさは
多くの人に好かれ、しだいに民衆から女神イシュタルとして絶大な支持を得るようになる。
カイルもそんなユーリに惹かれてゆく。いつのまにか、カイルにとってもヒッタイト帝国に
とっても欠かせないない存在になっていったのだ。
しかしユーリは現代に還らなければならない。生きる時代も場所も身分も違う。
好きになっても叶わぬ恋と分かっていながらも、ユーリはカイルを想う気持ちを
押さえきれなくなってしまった。
◆やがてカイルは皇帝の地位に就く。しかしまだナキアは息子ジュダを
帝位につけることを諦めない。執拗ユーリの命を、帝位を狙ってくる……。

◆一文でストーリーを語ると、タイムスリップをした現代の少女ユーリが、
時代の渦に巻き込まれ、数々の試練を乗り越えてカイルの正妃(タワナアンナ)となる話である。
結末はわかっているが、ストーリーのテンポがよくコミックス20数巻という長編に飽きがこない。
また、ラムセス、ルサファ、ウルスラ、イル=バーニなどの主人公をとりまく脇役たちにも
大変個性があり、ストーリーの半分は脇役たちが盛り上げているのではないかと思うくらいだ。
◆時代的背景にも忠実で、カイル(ムルシリ2世)は実在の人物であり、ミタンニ帝国の滅亡、
ザナンザ皇子のエジプトへの婿入りなどの史実がストーリーがうまく絡み合っている。
ヒッタイトやエジプトについて興味が沸いたのはきっと私だけじゃないはずである(笑)。
解説:ねね イラスト:ねね専属絵描き女



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