赤髪の白雪姫2次小説
ミツヒデの日記

ゼンに仕え始めたときからのミツヒデの日記です。
ギャグ風に書いてあります。ゼンが横暴気味です。
焼きそばパンとか出てきますが深く考えずにお読みください。(笑)




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○月×日


 本日、イザナ様から弟王子に仕えてみないかというお言葉があった。
自分はまだまだ未熟者であるし、いずれはイザナ様のお役に立ちたいと思っていた。言われた時は少々戸惑う気持ちがあったが、せっかくのイザナ様のお言葉なので、これから弟王子に誠意をもってお仕えしようと思う。

 これを機に日記なんてものをつけてみようと思う。これからは王宮勤めだ。身の振る舞いには充分に注意しなければならない。一日一日の自分を日記で振り返るのだ。


○月▽日


 今日、弟王子のゼン様にお会いした。
 イザナ様と同じ気品は持ち合わせているが、初対面で塀の上から登場するという、少々王子らしからぬところもあるようだ。

 ゼン様に「本当は兄上にお仕えしたかったのだろう」と、早速心の中を見透かされてしまった。イザナ様を見送る時、そういう目で見ていたらしい。まだまだ自分は未熟者だ。気持ちを見透かされてしまった。ゼン様の観察力の良さにも尊敬を申し上げる。


△月〇日

 ゼン様が今日、「焼きそばパンが食べてみたい。ミツヒデ、城下へ行って買ってこい」と命令された。

「いけません、ゼン様。あのような麺とパンを組み合わせた炭水化物の塊、王族の方がお食べになるようなものではありません!」

と説得を試みた。ゼン様にはバランスのとれた食事を召し上がっていただきたい。

「うるさいぞ、ミツヒデ! 城下ではうまいと評判らしいじゃないか! これで買ってこい!」

 ゼン様はそう言い、左腕につけているブレスレットを外しこちらへ投げつけた。頬に命中し痛かった。クラリネスの紋章が入っている王族にしか持つことのできないブレスレットであった。高価なものである。焼きそばパンが千個くらい購入できそうだ。
 まさか王族の紋章が入っているブレスレットを質屋に入れて換金することもできないので、実費で焼きそばパンを購入することにした。あとでゼン様に代金をいただけばいいのだ。

 城下で一番人気のパン屋へ行くと、時間が遅かったためか、焼きそばパンはあと3つしか残っていなかった。ゼン様のために3つすべて購入した。喜ぶ顔が見たいと思いながら早足で王宮にまで帰る。

 王宮に戻り、まずはブレスレットをお返しした。

「ゼン様、王族の紋章が入っている宝石を、そう簡単に他人に渡してはいけません」

 そう申し上げると、「そうか、悪かった」と言って、ブレスレットを素直に受け取ってくれた。続けて焼きそばパンを差し出すと、ゼン様は「これが焼きそばパンか、うまいな!」と言いながら嬉しそうに召し上がられた。ゼン様の嬉しそうなお顔が見られることは本当に嬉しい。
 3つも買って行ったので、1つくらい分けてもらえるかな? と期待をしたのだが、ゼン様は焼きそばパンをすべて召し上がってしまった。ゼン様は成長期なのだろう。食欲が旺盛である。しかし私のお腹はぐぅと鳴る。
 焼きそばパンを食べている途中でゼン様がむせられたので、これは大変と思い牛乳を差し出した。ゼン様の表情が渋いものになる。
「俺は牛乳が嫌いなのに嫌味か? ミツヒデ?」
 ゼン様は牛乳が苦手だったのだ。せっかく焼きそばパンでご機嫌になられたのに、とんだ失敗をしてしまった。
 「申し訳ありません」と平謝りすると、「ふん! 今日は焼きそばパンに免じて許してやる!」と部屋を出て行かれてしまった。思春期の王子にお仕えするのは、なんと難しいことだろう。反省をした。
 ゼン様のいなくなった部屋には焼きそばパンの匂いだけが残る。その匂いに再びお腹がぐぅと鳴る。
 焼きそばパンを一つわけてもらえなかったことは予想外であったが、でも大丈夫。こういうこともあろうかと、自分用に「揚げパン」をこっそり買っておいたのだ。きなこのかかった甘い揚げパンである。ポケットから揚げパンを出し、一口食べる。じわりと口の中に油の味が広がり、甘さが身にしみた。ゼン様に内緒でこっそり食べた揚げパン(きなこ味)は極上であった。
 窓の外を見ると、秋風に樹々が揺られていた。風流な気持ちになる。俳句でも読みたくなった。










 王宮勤めが身について、自分も雅になったものだと思う。

 そういえば、ブレスレットを返してしまったので、焼きそばパン代をいただいていないことに気づく。王族の方は細かいことは気にしないおおらかな性格なのかもしれない。


△月×日

「ミツヒデ、俺に内緒であの後、『揚げパン』を食べていただろう」

 翌日、ゼン様が私に向かってニヤリと笑われた。
「ど、どうしてその事を!」を焦りつつも聞くと、「口の端にきなこがついていたぞ」と言われてしまった。なんと恥ずかしい。食べ終わった時にちゃんと鏡を見ておけばよかったと思う。

 それからゼン様は庶民の食べ物に興味を持ち始めた。王宮の外にも目を向けられることは良いことである。
「たこ焼きが食べたい、牛丼を買ってこい、今日は今川焼だ!」と、その都度、身につけている指輪やブローチを外し、「これで買ってこい」と私に投げつけた。もちろん、王族の紋章の入っている装飾品を売るわけにもいかないので、装飾品はお返しし、実費で購入した。ゼン様は細かいことは気にしないおおらかな性格なせいか、代金をくれることはなかった。

 しばらくすると、少々財布が苦しくなってきたので、空いた時間で造花づくりの内職をすることした。1個5円で材料費が2円差し引かれるから、1個あたり3円の儲けだ。最初は上手くいかず10個中5個くらいしか商品にならなかったが、最近では10個中8個は上手く作れるようになった。
 休みの日に造花づくりをしていると、ゼン様が私の部屋に入って来た。
「ミツヒデ、それは何だ?」と聞かれたので「造花づくりの内職です」と素直に答えた。内職をする理由までは言えなかった。
「楽しそうだな、俺にも一個やらしてくれ」と、ゼン様は材料を手に取り勝手に作り始めた。
「ゼン様、造花づくりにはコツがあって……、あっ!」
 止める間もなくグチャグチャな造花が何個も出来上がった。上手くできなくてゼン様は不機嫌になられる。
「なんだ。思っていたより面白くないな!」
 ふん! と鼻息を鳴らして部屋を出て行かれてしまった。
 ゼン様がお作りになられたグチャグチャな造花を見つめる。
 また更に内職を増やさなければならない。
 王宮勤めも楽ではないな……そう思い、ふぅとため息が出る。

 今日も一句詠みたくなった。





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