はじめに

このパロディは天は赤い河のほとりと闇の末裔のミックスパロディです。
片方のお話しか知らなくても楽しめると思いますが 両方のお話を知っていれば
2倍楽しめると思います。どちらの作品もお薦めなので是非ご一読下さいませ。
以下に私の書いた つたない作品紹介があります。
下手な説明だからと言って 皆様、怒らないで下さい。m(__)m

   天は赤い河のほとりを知らない方へ

闇の末裔を知らない方へ

 

天は赤い河のほとりを知らない方へ

 天は赤い河のほとりは小学館フラワーコミックス 篠原千絵先生の作品です。
 中3の少女 鈴木夕梨(ユーリ)は 古代ヒッタイト帝国の皇妃ナキアの魔力によって
現代から3000年ほど遡った古代へ連れて行かれてしまいます。ナキアは自分の息子である
皇子を帝位につけたいがため、ユーリを邪魔な皇子を殺す生贄として時代を越え呼び寄せたのです。
そんなユーリは ヒッタイト帝国第3皇子であるカイルの側室として
カイルの宮にかくまわれ、しだいに二人は惹かれ合うようになります。
 またユーリは 戦争の女神イシュタルとして民衆から絶大な支持を得ます。
 何の身分も持たないユーリが 数々の試練を乗り越えて 皇帝となったカイルの正妃(タワナアンナ)
となるお話です。(まだ完結してないけど 多分正妃になるのだと思う・・・。)
ここのHPの内容は 御覧のように(笑)殆どが 天は赤い河のほとりのパロディです。
読んでいない方は是非是非読んでくださいませ♪

 

闇の末裔を知らない方へ

 闇の末裔は白泉社コミックス 松下容子先生の作品です。
 冥府には死者の生前の罪業を裁く十王丁と言う機関があります。人は死ぬと自動的に
冥府へ行くのですが 中には寿命が来ても死なずに生き続けている者がいます。
そんな魂を 冥府へ導くのが 十王丁の中でも特殊といわれる閻魔丁です。
閻魔丁には 近衛課長、課長秘書である巽(たつみ)、勤続70年の都筑(つづき)
まだ入りたてのピチピチ16歳 密(ひそか)をはじめ いわゆる死神と呼ばれる
職員がいます。都筑、密を中心に繰り広げられるとっても楽しく面白い作品です。
読んでいない方は是非是非読んでくださいませ♪

天は闇の末裔のほとり


 死者の生前の罪業を裁く十王丁。人は死ぬと冥府へ行く。
だが、中には寿命が来ても死なずに冥府へ行かない者もいるのだ。
そんな死者を冥府へ導くのが十王丁の中でも 特殊といわれる閻魔丁である。
 閻魔丁召喚課には今日も 本来死ぬはずだった者を 冥府へ導く仕事が来ていた。
「今回の仕事は今までにない特殊な例なんだ。かなり厄介な仕事かもしれないが
この仕事をこなせば 我が閻魔丁召喚課の株も上がる。どんな手を使ってでもいい
絶対この少女の魂を持ってこい!」
閻魔丁召喚課 近衛課長が声を大にして 勤続70年の都筑と 
まだ入りたて、死にたてのピチピチ16歳 密にそう言った。
「近衛課長 厄介ってどんなふうに厄介なんだ?」
都筑が課長に聞いた。
「この写真の少女が 問題の少女だ。名前は鈴木夕梨 当時15歳。ある日突然姿を消し、 
行方不明となっているが 鬼籍(死んだ人の名簿)では死亡した事になっている。
だが この少女はまだ生きているんだ。信じられない事かもしれないが 
現代から数千年ほど遡った古代に連れて行かれてしまったんだ。
連れて行かれた時代は 紀元前14世紀の古代ヒッタイト帝国。
今で言うアナトリア、トルコ共和国の辺りだ。
この事実を調べるまでに何年もかかってしまってな。やっと居場所と時代がつかめたんだ。
都筑、密。どうかこの少女の魂を 冥府へ送って欲しい」
「ひえ〜、古代かぁ。なんでまた 古代に生きているんだ?
紀元前ってことはキリスト様が生まれる前かよ。
そんなところに現代人が行って生きているのかねぇ」
「それが 密。この鈴木夕梨という少女は ちゃんと古代で生きているようなんだ。
閻魔丁にとってもこんな例は初めてなんだがな。頼む行ってきてくれ」
「古代・・・古代ってアップルパイはないよなぁ・・・」
甘い物好きの都筑がそうぼやいた。
「つべこべくだらん事を言ってないで早く行け!都筑!
土産はなつめのはちみつ漬けを持って帰ってこいよ」
 都筑と密は あまり気は進まなかったが しぶしぶ紀元前14世紀
ヒッタイト帝国へ旅だった。

 ここは紀元前14世紀 ヒッタイト帝国の首都ハットゥッサ。無事にたどり着いた都筑と密。
だが 都筑や密には この鈴木夕梨という少女が何処にいるか全く分からなかった。
「写真1枚で 女一人探せますかね。それよりも・・・オレ達の服装、
絶対浮いてるよな密」
「仕方ないよ。この時代の服なんか持っているわけないし。このままいこうぜ都筑」
20世紀の密や都筑の服装が珍しいのか 2人はハットゥッサ市民の視線を
一目に集めていた。
「とりあえず聞きこみと行きますか」
都筑は ジロジロ見ている一人を捕まえた。
「おい、ちょっと聞きたいことがある。この町に 鈴木夕梨という女がいるはずなんだが・・・」
聞かれたハットゥッサの人間は 珍しい服装の者に声を
かけられたせいか少し脅えていた。
「スズキユウリ?知らないな。そんな変な名前の奴は 俺は知らない。
それよりお前達は何なんだ?その服はなんだ?何処の国の者なんだ?」
「いや 知らないならいい。これが一応写真なんだが・・・」
都筑は写真を見せた。
「こ、これは イシュタル様ではないか!?こんなよく描けている肖像画、
初めて見た。誰が描いたのだ?」
古代ヒッタイトの人間から見て 写真は絵として捕らえられたようだ。
「知っているのか?この女が鈴木夕梨だ。何処にいるのか分かるか?」
「このお方は 我がヒッタイト帝国の女神 イシュタル様だ。
皇帝陛下のただ一人のご寵姫でご正妃ユーリ・イシュタル様であられる」
「はぁ〜〜〜〜皇帝の正妃?!?!?!」
密と都筑は声を揃えて言った。

 2人はユーリがいると言われる王宮の前まで来た。しかし さすが皇帝陛下のいる王宮。
何の身分も紹介も持たぬ都筑と密が 王宮に入れるわけがなかった。
「写真では小学生に 見えかねない少女が 本当に一国の王の妃なのか?
信じられないぜ」
「そんなことよりどうやって 入りこむんだよ。かなりガードキツイゼ 都筑」
二人は仕方なく 王宮の周りをフラフラしていた。
すると突然ガサガサと 頭上の木が揺れ上から人間が降って来た。
「うわああああ」
「きゃああああ」
2人の男の悲鳴と女の悲鳴が響き渡った。
「いったぁ〜い。なんでこんなところに人がいるのよ」
「なんなんだ どうして空から人が降ってくるんだ?」
都筑と密は顔を上げた。すると前には 黒髪の少女が・・・。
少女が顔を上げると なんと探していた少女 鈴木夕梨だった。
「す、鈴木夕梨!」
都筑と密は声を合わせて言った。
久しぶりにこの名前を呼ばれたユーリは ビクっとした。
「なんで その名前を・・・。それにその服・・・もしかして20世紀の人間?」
ユーリの顔色が急に変わった。そうこうしていると 
さっきの悲鳴を聞きつけた王宮の兵たちが集まって来てしまった。

「カイル様。王宮から無断で脱走しようとしていたユーリ様を お止め致しました。
それに ユーリ様にたかっていた不信な人物も捕獲しました」
「ご苦労、衛兵。下がってよい」
 不機嫌なカイルの前に出される ユーリと都筑と密。都筑と密は 理由はどうあれ、
当のユーリに会えた事に ほっとしているようだった。
「ユーリ!まったくお前は ちょっと油断すると すぐにそうやって王宮から無断で出ようとする。
お前はタワナアンナなんだ。もう少し自覚を持て!」
「ごめんなさい。カイル。そんなことより この2人・・・」
「ところで お前達は何なんだ?妙な格好をしているな。ユーリが
初めてこの世界に来たときに着けていた服に似ているな・・・」
「これはこれは このユーリとオレ達が 同じ世界の者だって
よく気がつかれましたな 皇帝陛下。それなら話が 早い。オレ達は死んだものを
あの世に連れて行く死神だ。普通は人は死んだら 自動的にあの世に行くんだが
中には死んでも あの世に行かず行き続けている者もいる。
それがお前だ 鈴木夕梨!おとなしくあの世に行ってもらおう」
都筑は ユーリに向かってそう言った。
「はぁ?私が死んだですって?何で?こうやって生きているじゃないの!?」
「そうです。ユーリ様は 我がヒッタイト帝国の皇妃であり
戦争の女神 イシュタルであられるお方。我が国にとってなくてはならないお方です」
側近のキックリが言った。
「鈴木夕梨、お前は20世紀では 死んでいることになっているんだ。
それが こんな古代で生きているなんて 十王丁の掟に反することだ。
おとなしくオレ達と一緒に来い!」
「じょぉ〜っだんじゃないわ!今更 私が死んでるですって?
私は勝手にナキア皇太后の魔力で ヒッタイトに連れてこられたのよ。
好き好んで古代に来たんじゃないんだから!
それに20世紀では どうせ私は死んでるんだし。別にいいじゃない」
「それもそうだな・・・」
と都筑。そんな都筑にドカっと密はケリを入れた。
「どう考えても20世紀の人間が こんな3000年も遡った時代に
生きているなんておかしいだろう。おとなしく一緒に来い!」
「何バカなこと言ってるのよ!私がこの世界にきて どれだけ苦労したと思ってるの?
それを今更戻れですって!?冗談じゃないわ!カイルと離れるなんて、
この国を捨てるなんて 今更 私にはそんなこと出来ない。絶対にイヤ!」
「くそ!思ったとうり厄介な女だな」
密がそう 呟いた。
ユーリは ため息をついて静かに顔をあげて密と都筑にこう言った。
「確かに 20世紀の人間がこの世界に生きているなんておかしい事かもしれない。
じゃあ どうしてもっと早く来てくれなかったの?こんなにカイルのこと好きになって
苦労して皇妃にまで上りつめて。来てくれるなら この国に情が移る前の1巻の130ページ位
で来てくれればよかったのにー」
ユーリはわっ泣き出してしまった。
「ヤケに具体的だな・・・」と密。
「ユーリ様・・・」
ハディが心配そうにユーリの背中をさすった。
「まあまあ お二人さん。ヒッタイト帝国名物 干しアンズ入りのパンはどうです?
美味ですわよ。ご一緒に ワインもどうぞ」
リュイとシャラが 都筑と密に勧めた。
甘い物に目がない都筑。むしゃむしゃと双子の勧めるがままに 
ワインと干しアンズ入りのパンを食べてしまった。
「バカー!都筑!なんでそんなもの食うんだ!何か入っているに決まっているだろう!」
密が言いおわるや否や バタン!と都筑は倒れてしまった。
「ほほほ。ナキア皇太后御用達の白い水を 干しアンズ入りのパンに混ぜておきましたの」
双子は得意げに言った。
「都筑!」
密が倒れた都筑を抱えた。都筑に気を取られた密。そのスキをつかれて 
ルサファにハンマーで殴られ 都筑と一緒に倒れてしまった。
「よくやった。ルサファ!ユーリを連れ去ろうなんてとんでもない奴だ。
ユーリ 安心しろ。私はお前を絶対離さない。何があっても守ってやる!」
「嬉しい。カイル。それにしても何よこの2人!私に立てつこうなんて 3000年遅いわ!」
「こいつらが 気絶しているうちに 早く泉へ。この二人を私の魔力で元の世界へ戻してやる」
「カイル様。魔力はむやみに使ってはいけないと 亡きヒンティ様が・・・」
「何言っているんだ!キックリ!こういうときに使わないでいつ使うんだ!
魔力とは ユーリを守るためにあるんだ」
「どこかで 聞いたような言い回しの気が・・・」
 気絶している 都筑と密は泉へ投げ込まれ カイルの魔力で
20世紀へ連れ戻されてしまった。
その後、カイルとユーリは平和で安心に暮らせる治世を築きましたとさ。

 一方、20世紀に連れ戻された都筑と密は・・・。
「なんだと!失敗しただと!!!」
近衛課長が 大声を張り上げて言った。
「いやぁ。でもこの鈴木夕梨という少女。よくやっていましたよ。
何と言ってもヒッタイト帝国の皇妃だし。民衆の指示も得ているようだし。
わざわざ この20世紀に連れ戻し冥府に連れて行くには
もったいないですよ」
都筑が 課長の怒りをよそに のうのうと言った。
「課長も読んでみて下さいよ。『天は赤い河のほとり』いい話ですよ」
課長秘書の巽が 天は赤い河のほとりのコミックスを勧めた。
「白泉社のライバル、小学館のまんがなど わしは読まん」
近衛課長は口をへの字にしてそう言った。