***シンデレラ〜密編〜***


「いいかい 密シンデレラ。しっかり留守番しているんだよ。」
「掃除、洗濯、ちゃんとやっておけよ!俺達は お城の舞踏会に行ってくるからな。」
「わかったよ。近衛父さん、亘理兄さん、巽兄さん。ちゃんとやっておくよ。」
3人とも新品のスーツを着こみ 身だしなみを整え、馬車乗りお城へと馬車を急がせた。
 今日は お城で舞踏会。結婚適齢期の王女さまの花婿を探す舞踏会だ。
国中の貴族の息子達のほとんどがこの舞踏会に招待されていた。
密も 貴族の息子だったが 実の母に先立たれ、後妻に入った継母と
義理の兄に逆らえず 苦しい毎日を送っていた。
「いいなぁ。俺もお城の舞踏会とやらに行ってうまいもんいっぱい食いたいなぁ。
王女様か・・・顔だけでもいいから拝んで見たいなぁ。」
裸足にボロボロの服の密。この格好では とてもじゃないが舞踏会になんて
行くことは出来なかった。
「さあ、無駄なこと考えてないで掃除でもするか!。」
密はエプロンをかけ ホウキを持って庭先の掃除を始めた。
すると急に 眩しい光が密の顔を照らした。
「うわっ、なんだこの光は!」
密は眩しくて目を瞑った。
おそるおそる目を開けると 目の前に2人の女が立っていた。
「きゃああああ、エプロン姿の密さんよー。ラブリーーーーー。」
2人の怪しげな女は奇声を上げた。
「お前達誰だ?!」
「私達は 閻魔丁の妖精 弓真とさやよ。安心して密クン。
私達がお城の舞踏会に連れて行ってあげるから。」
「は?なんだ?!急に???」
「密クンがお城の舞踏会に行くための服と靴と馬車を用意してあげるわ。
ねえ さや、密クンどんな服がいいかしら?」
弓真とさやは 魔法の服というパンフレットを見て何か決めている。
「ピンハも捨てがたいし、薔薇模様もいいわね。(某パロの名残が・・・)う〜ん???」
「あっ さや、これなんかいんじゃない?」
「ほんとだ。それいいわね。じゃあ 密クン。魔法をかけるわよー。
ビビリマクリブー。」
弓真とさやは持っていた魔法のステッキを密に向けて呪文を唱えた。
密は 眩い光に包まれ 裸足の足には ガラスの靴に
ボロボロの衣服はピンクのフリフリのレースがついた かわいらしいドレスに変わった。
「きゃああああ、やっぱり密さん ピンクがよくお似合いですわー。
なんてかわいいシンデレラなのかしらー!!!」
「ここまでやったんだから お化粧もしなきゃね。あっ ブロンドのかつらもかぶせちゃおうっと。」
密は 弓真、さやの成すがままにされ 唇にはピンクのルージュ、
長いまつげを更に長く マスカラ、まゆげラインもしっかり整えられ
何処から見てもかわいらしい お姫様に変身した。
「おい!ちょっと待て!なんなんだよこの格好!!!
俺は男だー。(うる星やつらの竜之介君の口調で)」
「心配しないで 密クン。魔法は12時まで解けないから。さあ、お城の舞踏会に
行ってらっしゃい。」
密は かぼちゃの馬車に詰めこまれ お城の舞踏会へ強制送還させられた。

 さてさて こちらはお城の舞踏会。綺麗なドレスを着飾った女性達がたくさんいる中
弓真とさやに変身させられた密はひときわ 目立っていた。
舞踏会に来たからには たくさんうまいものを食べてやろうと心に決めていた密は 
周りの注目を集めているのも気づかずに ガツガツとここぞとばかりに食べていた。
「お嬢さん、僕と一曲踊って下さい。」
声のしたほうを振り向くと義理の兄である亘理がダンスのお相手を申し込んでいた。
「いや、僕と踊ってください。」
とまたまた義理の兄の巽。
どうやらドレスを着た密が義理の弟ということに気づいていないらしい。
「いいえ、私と踊ってください。ピンクの似合う お嬢さん。」
そう言ったのは このお城の王子 都筑だった。密は無理矢理 手を引かれ都筑と
ダンスをすることになった。
「お嬢さん、私には妻がいますが 私の愛人になりませんか?
あなたのようなかわいらしい方は 初めて見た。」
密はそう 都筑に囁かれた。密はさすがに堪忍袋の緒が切れ
「俺は男だー。(再び うる星やつらの竜之介君の口調で♪)」
と王子都筑を ぶん殴って 舞踏会会場から逃げ出した。
「追え!あのピンクのドレスの女を追うんだ!」
都筑は衛兵にそう 命令した。
もうすぐ12時。魔法の解ける時間だ。
密は必死で階段を駆け下りた。だが、途中でガラスの靴が脱げてしまった。
「あっ ガラスの靴が・・・。」
後ろから兵隊が追ってくる。ガラスの靴なんて拾っている暇なんてない。
そのまま密は 階段を駆け下りた。階段を駆け下り木陰に隠れたところで
ジャスト12時。魔法が解けた。密はもとの 裸足にボロボロの服に戻った。

「おい、密。そんなところで何してるんだ!?」
後ろから 義理の兄である亘理と巽の声がした。
「あ、えっと、兄さん達を迎えに来たのさ。兄さん舞踏会はどうだった?」
密は苦し紛れにそう言った。
「すっごいかわいい ピンクのドレスをきた少女がいてな。
ダンスを申しこんだんだけど ここの王子様に先を越されてしまったんだ。
あんなかわいい子は 滅多にいないよな。巽。」
「そうだな 亘理。」
「よ、よかったな。兄貴たち・・・。」
密は 複雑な気持ちで苦笑いしながら言った。
密と亘理と巽、それと近衛父は 馬車で我が家に戻った。密は疲れてしまったのか 
帰りの馬車で眠ってしまった。

「おい、密。起きろよ。」
密は体を揺さぶられ 目を開けた。目の前には 都筑の顔があった。
そこは いつもの十王丁、閻魔丁召喚科の一室。
どうやら 今までのシンデレラは夢だったようだ。ほっと胸をなでおろす密。
夢でよかったと密は 安堵の気持ちでいた。
「おい 密。この靴履いてみてくれよ。知り合いの占い師からこの靴に
ぴったり合う者が 俺の最良のパートナーだと言われたんだ。」
都筑はそういいながら密にその靴を履かせた。
履かされた靴を見ると なんとその靴はガラスの靴だった!!!
「おっ、ピッタリじゃないか密!やっぱり密は俺の最良のパートナーなんだな。」
都筑は嬉しそうにそう言った。
「ふざけるんじゃねぇー都筑!俺は男だー。(またまたまた うる星やつらの竜之介君の口調で♪)」
密は 都筑にパンチをくらわせた。

おわり♪