夢の雫、黄金の鳥籠
姉プチ3号
2011年2月


 【あらすじ】

 スレイマンに召されたヒュッレムは一夜を過ごします。通常、伽を務めた女性には、翌日
陛下から褒美がでるという決まりがありました。褒美の量は寵愛のバロメーターであり、
通常の妾は籠いっぱいの金貨や宝石を皇帝に望むのですが、ヒュッレムは書物が欲しいといいます。
イブラヒムからもらった書物は暗唱するほど読んでしまったので新しい書物が欲しいと望みました。
スレイマンは承知して宦官長に箱に入った鍵をわたしました。宮廷内にある皇帝専用の
図書館の鍵です。本来、妾は後宮を出ることを許されないが、ヒュッレムが図書館に
通うときに限って出入りを許すとのことでした。ヒュッレムは大喜び。ですが女官や
ライバルの妾にはその価値がわかりません。
 その後ヒュッレムには毎晩お召がかかります。面白くないのは今までのお気に入りだった
ヌール・ジャハーン……と思いきや彼女は何故かご機嫌です。
ヌール・ジャハーンはスレイマンの子を宿していたのです。
 ある夜、ヒュッレムにヌール・ジャハーンから話があるので東庭に来るようにと
手紙が来ます。人気のない東庭に行くと、先にヌール・ジャハーンが来ていました。
声をかけようとすると、ヌール・ジャハーンの周りに何人かの男が集まり、
布を巻かれて連れ去られてしまいました。男たちに命令をしていたのは夫人のギュルハバル。
ギュルハバルには皇子が一人いますが、オスマン帝国で皇帝になれなかった皇子は
兄弟に殺される運命にあるのです。だから皇子を産んだ女は皇子を守ろうと必死になります。
陛下の子を宿したヌール・ジャハーンとお気に入りのヒュッレムを処分しようとしていたのです。
ヌール・ジャハーンはボスボラスの海に沈められてしまいます。ヒュッレムは間一髪の
ところでイブラヒムに助けられます。ヒュッレムはイブラヒムからギュルハバルと
正面から立ち向かい、皇帝の子をたくさん産んでほしいと言われます。
ヒュッレムには何一つ望ん道ではありませんが、目の前に道はあります。
進むしかない道ならば、自分の足で歩いてみようかと思います。


【感想】
篠原先生の作品らしくなってきましたね!
ヌール・ジャハーンはもっと悪役として活躍してくれるのかと
思ったのに海にドボンなんて……。
夫人のギュルハバルがやさしい顔してこれからの悪役になってくれそうですね。
やさしい雰囲気だけどよく見ると目がナキア。やっぱり最初から悪役だったんだ。
これからが楽しみですね。でも史実のとおりだとヒュッレムもギュルハバルと
同じようなことするんですよね。いままでの篠原先生の長編作品のヒロインって
正義の味方じゃないですか! これからヒュッレムをどう描いていくか
楽しみです。