***8号続き***


 ラムセスがネフェルティティに捕らわれてしまった。今がヒッタイトに帰るチャンスだとイル=バーニは言う。
敵国の将軍であるラムセス。散々な目にもあったが、助けてもらったのも確かだ。
そのラムセスを見捨てるなんて…。葛藤の末、ユーリは、ラムセスを助けに行く決心をする。でもどうやって……?

「ラムセスを助けに行く!」
「何てことを言うのです。ユーリ様!」
 イルは、ユーリに向かって怒鳴った。
「ラムセスに助けてもらったから、今、私は生きていられるんだもの! 
それにネフェルティティはサドの気があるっていうし……。ラムセスが、いたぶられてるかもしれないわ!
早く助けにいかなくっちゃ!」
「それは大丈夫ですわ。ユーリ様。ラムセスもマゾの気があると、ラムセス家の使用人が言ってましたわ」
 すかさずハディ。
「えー! それは大変! それじゃあ、ネッチーとラムセスが仲良くなっちゃうかもしれないじゃない! 急がなきゃ!」 
 ユーリ、3姉妹、イルの5人は、進路を変えてネフェルティティの宮殿へ急いだ。

 ネフェルティティの宮殿前に来ると、まるでユーリ達がラムセスを助けに来る事が分かっていたかのように、
門の前に張り紙がしてあった。

 『ようこそ、ネッチーからくり屋敷へ。ラムセスは最上階に監禁されておる。
  ワタクシのからくりに命を奪われないよう、せいぜい頑張るのだな。ほっほっほっ』

「な、何これ…」
「さ、さあ? からくり屋敷って…。やっぱりエジプト人のやることって分からないわ」
 3姉妹は頭を抱えていた。
「そんなことよりラムセスを助け出すのよ。行くわよ! ハディ、リュイ、シャラ! とおまけのイル=バーニ!」
「ユーリ様、おまけは余計です」
 イルもしぶしぶ、ユーリの後について行った。
 宮殿も門を開けたユーリ。
 早速…
 ―――床が抜けた!
「きゃあああああ」
(底に落ちる…!)
 と思いきや……、一番後からついて行って唯一、からくりにひっかからなかったイルの髪の三つ編みがバサッとほどけ、
ユーリと3姉妹の体にぐるぐると巻きついた。
「大丈夫ですか!? ユーリ様!」
「ありがとう。ラーメンマンイル=バーニ」
 ユーリと3姉妹は、ほっと一息である。
 最上階に監禁されているとあって、ユーリ達は階段をとんとんと素直に上がって行った。
随分、高い建物だ。例えて言うなら、15階建てのマンションくらいはあるだろう。
(古代にそんな高い建物作るの大変だろ…)
 静かなネフェルティティの宮殿を一段ずつ階段を上がっていく。すると……。
『ゴゴゴゴゴゴゴ』
 急に地響きが鳴り響いた。前を見ると!
 大きな岩がこちらに向かって転がってくるではないか!
「うわああああ」
 イル=バーニが叫び声を上げた。
「ユーリ様! ここはお任せを!」
 ハディが1歩前へ出て、岩に向かって行った。
「はあっー!」
 掛け声とともに、ハディは岩に向かってゲンコツを投げ出した。
『ガラガラガラガラ』
 岩は見事にハディの一撃で砕け、ボロボロと崩れ出した。
 ユーリ達はまたもや、危機を脱出した。
「この空手師範のハディを甘く見てもらっちゃ困るわ!」
 ハディの台詞も決まったようである。
 それから、何事もなく、ラムセスの監禁されている最上階まで行った。
 ―――ところが、
 最上階にはラムセスはいなかった。いなかったと言うよりも監禁されている部屋らしいものも見当たらないのだ。
「一体どう言うことなんでしょう? ラムセス将軍は何処にいるのかしら?」
 とリュイ。
「さあ、もしかして…騙されたのかしら……」
 とシャラ。
「ちょっと待って。これに何か…」
 ユーリは最上階にあった鏡の前に行った。全身が映る大きなもので、金のコブラの装飾の施されている高価そうな鏡だった。
鏡には、いつも見なれた、自分の姿が変わりなく映っていた。
『ズズっ』
 鏡がずれた。どうやらマジックミラーだったようである。マジックミラーの向こうには……。
 鎖に繋がれたラムセスが! 
「ラムセス!」
 ユーリは心配のあまり、ラムセスに抱きついた。
「おお! ユーリやっぱり俺のこと心配してくれたんだな。薔薇を貢いだかいがあったぜ!」
 抱き合う二人。たまには、ラムセスにもいい思いをさせてあげることとして……、
ここで続きパロは終わりにしましょ♪ 


************************************************
 やっぱり、ラムセスのこと見捨てちゃお話にならないでしょ。さすがはユーリ。
ネッチーもナッキー並にひどいことするオバサンだったのね。
そろそろユーリのチョーカーがお出ましになるかな?