***かぐや姫編***

 
むかしむかしある所に ナキア婆とウルヒ爺という老夫婦が住んでいました。
ウルヒ爺は 裏山から竹を取ってきて かごやザルを作って暮らしていたので
皆からは 竹取ウルヒといわれておりました。いつものように竹取ウルヒは
 愛犬ポチと一緒に モンペ姿に籠を背負って頭巾をかぶって足袋をはいて、竹を取るために
裏山に出かけました。すると ポチが「ここ切れワンワン」と言わんばかりに
金色に光った竹を見て 吠えています。竹取ウルヒは 早速、竹を切ってみました。
すると、目も眩むような輝く黄金の光を放ち その竹の中には 象牙色の肌をした
小さな女の子がちょこんと座っておりました。
それはそれは かわいらしい女の子でした。
「こいつを都で売り飛ばせばかなりの金になるやもしれん。」
そう考え、ウルヒはナキアの待つ家に帰りました。

「なんと小さい子なんじゃ。こいつは高く売れるかもしれん。もう少し育てて様子を見てから
都に売りに行こう。なあ、ウルヒ。」
ナキアは ウルヒと一緒に竹から生まれた小さな女の子を育てることを決めました。
ユーリと言う名前をつけて 大切に大切に育てました。
そのせいか、ユーリは3ヶ月も経たないうちに それはそれは美しい年頃の娘に成長しました。
また ユーリ政治に関する知識も素晴らしいものでした。優れた外交感覚を持ち
市民からも 圧倒的な支持を受けるようになっていました。
 美しく、かしこいユーリの噂はすぐにオリエント中に広まりました。各国の皇子やファラオ
、貴族達がユーリに結婚を申し込みに来ました。
ヒッタイト帝国のカイル、エジプトのラムセス、元ミタンニ帝国の黒太子、などなど
各国の皇子や貴族たちが次々に結婚を申し込みに来ました。
「これはいい、ユーリをどこかの国に嫁がせて 私達は 裏で政治を思うように
操り 思うがままの国にしようではないか、のう、ウルヒ。」
「そうですね。ナキア様。」
ナキアとウルヒは ユーリの結婚には大賛成でした。
 ところがユーリはこの縁談に乗り気ではありません。ユーリは結婚を断るために
無理な注文を出す事にしました。カイルにはチョコレート・パフェを作るように、
ラムセスには マックのテリヤキバーガーセット(飲み物はコーラ)を作るように、
黒太子には 味噌ラーメンを作るように言いました。期限時間内に作る事の出来た者のところに
嫁ぐというのです。どうやらユーリは 古代の食べ物に満足していなかったようです。
3人は一生懸命作りました。カイルはヒラヒラのフリルのついたエプロンをつけて
一生懸命生クリームを泡立てています。ラムセスはコックの帽子をかぶり フライパン片手に
悪戦苦闘しています。黒太子は 頭に鉢巻を巻いて スープの出し殻作りに励んでいます。
しかし、これらの料理は 3人とも見たことも食べた事もありませんでした。
カイルと黒太子は時間内に出来なくて失格、ラムセスは一応できたが あまりにも
薔薇のにおいが非常に強いテリヤキバーガーを作ったので 3人とも失格になりました。

「ユーリ!なぜあんな注文をだすのじゃ。どうして結婚を断るのじゃ。」
ナキアが怒ってユーリに言いました。
ユーリはため息をついて 悲しそうに言いました。
「実は私は この時代の者ではないのです。20世紀の世界の者なのです。
私は今度の十五夜の晩 20世紀に還らなくてはいけません。」
「今度の十五夜?明後日ではないか!冗談じゃない!お前はどこか大国に嫁ぎ
王妃となって 私は王妃の母として裕福な老後を送るのじゃ。
すぐに兵を集めるのじゃ。ユーリを未来に還してはならん!」
ナキアの言葉どうり次々と有能な兵が集められました。カイルにラムセス、
カッシュ、ルサファ、ミッタンナムワの3隊長も ユーリを未来に還さないよう
未来からの使者を追い返すため ユーリを守りました。

暗い闇に 青白い光を放つ 綺麗な満月が東の空に昇りました。ユーリを守るために
兵たちは 弓矢を構えています。やがて月から 一直線にユーリのいる屋敷に光が注ぎ込み
月から 使者がやってきました。使者はユーリの父や母、姉の毬絵、妹の詠美です。
兵たちは カイルの掛け声でいっせいに矢を放ちました。しかし矢は 不思議な光の中に
吸い込まれ消えて行ってしまいます。それどころか バタバタ兵たちは倒れてしまいました。
「ナキア婆、ウルヒ爺、今まで育ててくれてありがとう。」
ユーリは ナキアとウルヒにお別れの言葉を言いました。
次にユーリは カイルのところへ行きました。
「私はあなたのことが 好きでした。どうかこれを・・・。」
ユーリはカイルに小さな袋を渡しました。その中には不老長寿の薬が入っていました。
これをのんで 20世紀まで生きていて欲しいという、ユーリの願いだったのです。
 やがてユーリは吸い寄せられるように 光の中に入っていきました。使者、いや家族と一緒に
未来へ、20世紀の世界に還っていってしまいました。

 その後カイルが不老長寿の薬を飲んで 20世紀まで生き続け ユーリと結ばれたかどうかは・・・・・・・。
あなたの想像にお任せします。

♪おわり

 

かぐや姫について