***何の記念日?***

                                        BYまゆねこ

 「カイル〜!もうすぐ記念日よ、記念日!」
突然ハットゥサの王宮にユーリのけたたましい声が響いた。
「ユーリ!いったい何だって言うんだ?」
元老院会議を終えたばかりで、やや疲れているカイルであったがユーリはそれに構わず続けた。
「やだあカイルってば!4月5日は大事な記念日じゃない!
あっこうしちゃいられない。みんなに報せなきゃ」
そう言ってユーリはまた、けたたましく走っていった。
後に残されたカイルは呆然!
「そんなに慌てて報せなきゃいけない記念日っていったい何だ?4月5日と言えば始業式?
いや中学中退のユーリに学校の話は禁物だったな…季節的には水の季節だから
ひょっとして私達が初めて会った時の記念日とか?」

 歩きながら一生懸命考えていたカイルだが「初めて会った記念日」ではないことに気がついた。
なぜなら2人が結ばれるまでは「初めて会った日」は「ユーリが日本へ帰る日」でも
あったからだ。それまでは毎年その日が来るたびにカイルは憂鬱であった。
 だからその日はありえない。
「とすると、いったい何の記念日だろう?」
 ずっと考えていたカイルはとても大事なことに気がついた。
「そう言えば私はユーリの誕生日を知らない!これは恋人として、いや夫として
重大な欠陥ではないだろうか? もしユーリがそのことを知って『日本に帰ります』なんて言ったら…
いや帰れない今となっては『あたしラムセスに乗り換える』なんて言ったらどうしよう?
私にはそんなことは耐えられない」
 遂にいても立ってもいられなくなったカイルは考えた結果ハディに相談することにした。

 ハディを探すためにカイルは後宮に行くと果たして彼女はそこでベッドの支度をしていた。
カイルはさっきまで考えていたことを彼女に話した。すると…
「は? 記念日がユーリ様の誕生日ですか?」
 ハディはポカンとして次の瞬間ゲラゲラ笑いだした。
「いやですわ陛下! お忘れですか? それはユーリ様の誕生日ではなくてぇ…」
 と、ハディが言いかけた瞬間!
「何だ! そんなことも知らんのか! それは俺様とユーリが結婚する記念日だ!」
「何でお前が突然ここにいる?どうやって湧いて出たラムセス!ここは私の王宮だぞ!」
 カイルがラムセスに食ってかかった時、いきなり『パカーン』
とサンダルでユーリがラムセスの頭を殴った。
「それも違〜う! ラムセス! だいたい本編でだって結婚式を挙げてないでしょ? 嘘言わないでよ!
2人とも忘れてて何よ! 記念日っていうのはね…」
「ねねS’わーるどの一周年記念日だぞ! 私の活躍する! 忘れるでないぞ、お主ら!」
 とナッキーがユーリの台詞を奪って言ってしまった。
「ねねS’わーるどだとぉ? あの怪しげな試験管女が管理するHPのことか?
私はあいつとその一味のせいでドラエモンやらアンパンマンやらかなりバカなことをやらされたぞ!」
 カイルが言うとラムセスもすかさず答えた。
「それはお前がバカにされているからだろ? ムルシリ、そこへいくと俺なんか結構主役はってるからな!」
「何を言うか!主役は私だぞ!」
 負けずに言い張るナッキー・・あぁ!
「全くラムセスもナッキーも本編で主役はれないからって、こんなとこで出しゃばらないでよ!
ヒロインは本編でもここでも、あたしに決まってるんだから!」
とユーリが3人を尻目に1人でしゃべっている頃…。

「全く! あの4人はわかってらっしゃらないみたいね?」
「そうそう、このHPはパロだから結局全員おちょくられているってこと!」
「そうだな! そこへいくと2周年目には俺達が主役かもな?」
 …と話しているのはカイルとユーリの側近である3姉妹達とキックリ、3隊長達であった。
 しかし結局彼らもおちょくられていることに代わりはない…。

「ククク…今度は何を書こうかな?」
 と今日も試験管などを握りつつパロ書きに励む女がそこにいた。

               〜終わり〜

 ………悪かったな、怪しい試験管女で…(BYねね)