BC1202古代ワールドカップ


 2002年のワールドカップは日韓共催で成功のうちに幕を閉じたが、
BC1202年にも古代版ワールドカップが開かれようとしていた。
 発案者はミタンニ王国国王、マッティワザ1世である。
エジプトとヒッタイトの講和条約の際提案したのである。
「どうだろうか? ムルシリ2世、ホレムヘブ王、今度は平和な闘いを
してみようではないか? 手始めにサッカーなんかどうだ?」
 もちろんお祭り好きなカイルやホレムヘブ始め諸国の王達は大賛成であった。
「それは良い考えだ。じゃあ私はヒッタイトの司令塔MFだな!」
「じゃあわしもエジプトのMFというとこじゃな…」
 ホレムヘブが言いかけた途端「ちょっと待った〜ホレムヘブ王」と
口をはさむ奴がいた。
「何言ってるんですか! もうあんたは年なんだから、せいぜい監督ってとこ!
俺がエジプトのFWをやってやるぜ」
 声の主はやっぱりラムセスであった。お祭り男が絶対出て来ないわけが
ないのだが、カイルも負けずに言い返す。
「やっぱりお前か!ラムセス、エジプトには絶対負けないぞ!
開催地はやっぱりヒッタイトってとこかな?」
「ちょっと待った!ムルシリ2世、大国エジプトとしては、
うちも立候補しますぞ!」
 ホレムヘブ王もこれについては黙ってはいない。またまたもめて
ケンカが始まりそうになった時、マッティワザ王が間に入って言った。
「せっかく平和な闘いって言ったのにこれでは何もならないでないか!
そんなに自分とこでやりたいなら、いっそヒッタイト、エジプトの共催に
すればいい!両方の頭文字を取ってヒエ共催古代ワールドカップってとこでどうだ?」
「ひえ〜賛成」
「それなら何とかメンツは立ちそうだ」
 そういうわけで急遽決まった古代ワールドカップであった。
しかし2002年と違うのは、古代なので参加できる国を集めるのが、
ひと苦労であった。もちろんヒッタイトやエジプトは存在してるのであるが、
日本や韓国はまだないし(縄文時代くらいかな?)、イングランドやドイツも
同じようなものである。優勝国のブラジルに至っては大陸すら発見されていない。
そんな理由でいきなり決勝トーナメントとなるのである。
 以下は何とか集めた16国である。
 ヒッタイト、エジプト、ミタンニ、バビロニア、ウガリト、アッシリア、
キッズワトナ、アルザワリビア、エチオピア、トロイ、ギリシア、ローマ、
カルタゴ、中国、インドの以上である。
(もしかしたら『当時はまだ成立していなかったのでは?』と思われる国や
わからないので現在の名前にしたのもあるけど、まあ気にしないでください。
今ある国での参加ではヒッタイトがトルコとしてローマがイタリア、
カルタゴがチュニジアとして出ていたかしら?)

 そして各国ではワールドカップ目指して練習が始まった。ヒッタイトの
選抜メンバーは次の通りである。

 FW、ザナンザ、カッシュ、ティト
 MF、カイル、ルサファ、マリ、
 DF、キックリ、ジュダ、シュバス、テリピヌ
 GKミッタンナムワ

 もちろんカイルは攻撃的MF、ヒッタイトの司令塔としてリーダー背番号10を
つけている。
「うーん、攻撃はおもにザナンザとカッシュの2トップ、それに私が加わろう。
DFがちょっと弱いかもしれんなーキックリ、ジュダ!お前ら穴だぞ、
特にラムセスのカウンター攻撃に要注意だ」
カイルは練習となるとトルシエ監督より容赦がなかった。

 こうしてBC1202古代ワールドカップはヒッタイトの首都ハットゥサで
開催された。世界中から選手やサポーター達がやってきて街は沸きかえっていた
(世界といっても当時は16しかないけどね〜笑)
国中や各国からスター選手達もやってくるからである。まずは黒い戦車軍団と
異名をとるミタンニひきいるのは国王マッティワザ1世、MFである。
それから薔薇将軍ラムセス、エジプトのFW!今回は目立つためか
ヘアスタイルをベッカムヘアにして、逆立てた髪の毛は真っ赤に染めてあった。
それがとてもカッコいい!と評判になり街中「ラムセス様〜」の声援が聞こえた。
「何だ!あんな奴ただのトサカじゃないか」
 もちろんカイルはおもしろくない。するとイル・バーニがすかさず答えた。
「陛下、もちろんヒッタイトにもスター選手はいます。ザナンザ皇子は
『貴公子〜プリンス』と呼ばれてますしミッタンナムワはチラベルトや
カーン以上の強面のGKとして評判ですし…」
「そんなの…そのままじゃないか!ザナンザは元々プリンスだし!
私はどうなんだ?」
 結局はそれが聞きたいらしい!『全く我が儘なんだから…』とイルは
小さくつぶやいてから言った。
「いえ陛下にはユーリ様がおありですから…女性サポーターは騒いでも
仕方ないんではないかと思ってるんじゃないですか?」
「何を言うか!ベッカムだって妻がいるぞ!」
「じゃあ陛下もソフトモヒカンにされたらいかがでしょうか?
いっそのことモヒカンとか大五郎カットとかにすれば、もっと目立ちますよ」
「そんなのは嫌だ。モヒカンはウミドダバラじゃないが、黒い毛虫がはってる
みたいだし、大五郎は論外だ。第一私は反っ歯ではないぞ!」
「はいはい」

 次の試合のヒッタイトチームのヘアスタイルはすごかった。
カッシュは戸田も真っ青の(いや真っ赤?)の真っ赤な頭、
ミッタンナムワはヅラ疑惑のモヒカン頭、そしてリーダーのカイルは自慢の金髪を
ラムセスと同じソフトモヒカンにしていた。
「きゃあカイル素敵〜」
 貴賓席からユーリが大声で叫んだ。
「ふふっやっぱりもてる男は違うな」
 カイルがポーズを決めると横からザナンザが口を出した。
「何カッコつけてんですか?兄上、もうすぐキックオフですよ!」
まだ古代ワールドカップは始まったばかりである。
                         〜つづく〜