***大江山薔薇伝***BYまゆねこ


                       <キャスト解説>
                        源魁留=カイル
                     蔚薔薇木童子=ラムセス
                     渡辺留沙不亜=ルサファ
                     安部偉流=イル=バーニ

 時は平安中期、京の都一条戻り橋を源魁留の部下、渡辺留沙不亜が歩いていると
橋の真ん中に一人の女がうずくまっていた。
「もし、おさむらい様、持病の癪が出て困っております。お助けを」
「それは気の毒な」と留沙不亜が言い女の顔を見ると・・・
「蜂蜜色の肌!これは噂に聞く鬼では?」
と、留沙不亜は思い、突然剣を振り下ろした。
「えいっ!」
「なにをっ!真剣白刃取りっ」女は剣を素手でつかみ鬼の正体をあらわした。
「やっぱり魁留様がおっしゃった通りだ!剣を振り下ろして真剣白刃取りをするようなら、
それは鬼の蔚薔薇木童子であるとな!」
「ちっ、ばれちゃしょうがない」蜂蜜色の肌をして虎ジマのパンツをはいた蔚薔薇木童子は
言った。
「油断させて屋敷へ入り込み夕梨姫をさらおうと思ったが失敗したようだな。」
「姫は魁留様の大切なお方、お前などに渡すもんか」
激しい格闘の末、ついに留沙不亜は蔚薔薇木童子の腕を切り落とした。
「この野郎!絶対リベンジしてやる」そう言い残して蔚薔薇木童子は逃げていった。
「全く逃げ足だけは速い奴だな!」

 留沙不亜は蔚薔薇木童子の腕を持ち帰り主人の魁留に見せた。
「ほう!これが鬼の腕という奴か!」と魁留が言うと、
「ねえねえ、あたしにも見せて」と夕梨姫がやって来た。
何と腕はそろそろと動きだし夕梨姫のお尻をなでるではないか!
「きゃああ!何すんのよエッチ!」と夕梨姫は留沙不亜を平手打ちした。
「姫、私ではありませんったら!」と痛むほおをさすりながら留沙不亜が言うと
「全く!腕だけになってもスケベな奴だ!」と魁留(人のことが言えるのか!)

その後、鬼の腕をそのままにしておいては不吉だというので陰陽師安部偉流に
見てもらうと、偉流は長いお下げ髪を振り回し
「こんなん出ましたけど!3日3晩家に籠もり物忌みをしなさい。」
留沙不亜は偉流の言葉通り家に籠もった。

 3晩目の夜、家の戸をトントンと叩くものがあった。
「もし、留沙不亜や母ですよ」と声がした。
「誰が来ても絶対に開けてはいけない」そう偉流にきつく言われた留沙不亜であったが
母がはるばる津の国から訪ねてきたと思うと中へ入れてしまった。
「母にも鬼の腕とやらを見せておくれ」なりゆきを聞いた母は留沙不亜に言った。
「ちょっとだけですよ。母上」そう言って留沙不亜は母に鬼の腕を見せた。
「ふっふっふ!留沙不亜!この腕は返してもらうぞ」とたんに母の声が変わり
蔚薔薇木童子へと姿が変わった。相変わらず虎ジマパンツをはいている。

「ワッハッハ!それではこの腕はもらっていくぞ!」
そして高笑いを残し(黄金バットかベルク=カッツェかお前は!)
蔚薔薇木童子は留沙不亜の家の屋根を壊して去っていった。

蔚薔薇木童子ラムセスの悪行は京の都に鳴り響いていた。
ある時は薔薇をしょって現れ通りに臭いにおいをふりまいた。
そしてまたある時は都の貴族の屋敷に真っ赤な薔薇をまき散らすなど目にあまるものがあった。

 ついに朝廷は蔚薔薇木童子ラムセスをはじめ蔚薔薇木童子が仕える
酒呑童子ホレムヘブを退治することを決定した。
 時の権力者は弘徽殿皇太后那鬼亜、前の帝の皇妃であった。
今上陛下は体が弱いので息子の樹陀皇子を皇太子にしようと狙っていた。
 「陛下、近頃の蔚薔薇木童子の悪行は目に余るものがあります。」
と蔚薔薇木童子ラムセスのことが話題にのぼると那鬼亜はすかさず、
「武勇の者に退治させるのがよろしいかと思います。」と帝に言った。
「誰に退治させるのがよいか?」
「それはもう源魁留殿をおいてありますまい。」と言うのであった。

 源魁留は源氏に下ったとは言え、母は早くに亡くなった
前の帝の前皇妃であなどれない。那鬼亜にとっては目の上のこぶであった。
 また、魁留の恋人、夕梨姫は戦争の女神と言われ、国民に人気がある。樹陀皇子の妃
となれば皇太子になるのに有利であった。この機に乗じて魁留が死ねば一石二鳥だと那
鬼亜は考えていたのである。

「それでは源魁留よ!速やかに蔚薔薇木童子を討伐せよ!」ついに帝の命がくだった。

 屋敷に帰ると魁留は夕梨に内裏であったことを話した。
「そう言うわけで、夕梨、私は蔚薔薇木童子を退治しに大江山に行くことになった。」
「魁留、蔚薔薇木童子って近頃都を騒がせている悪い鬼でしょう。この前は切られた手が
あたしのお尻をさわったし・・。退治しに行くのなら、あたしも一緒に連れてって。」
「だめだ。いくらお前がじゃじゃ馬とは言え危険すぎる。おとなしく待っていろ。
留沙不亜、お前は私と一緒に来い。」

 出発の日になった。魁留達一行が出かけようとすると夕梨が出てきて見送った。
「ちょいと、お前さん、これを忘れてるよ。」
と言って夕梨は火打ち石を取り出してチョンチョンと打った。
「おうよ。行ってくらあ。」と魁留が威勢よくタンカを切った。それを見て
「魁留様はいつから銭形平次になったのだろう?」と留沙不亜は思ったが、
あまりにも2人がなりきっていたので黙っていた。(時代考証無視無視!)

 魁留達一行は険しい山を登っていった。
「この辺はラムセス名物、岩石落としが出るから気をつけろ。」
実は蔚薔薇木童子ラムセスはプロレスの技と同じ名前の岩石落としを
得意としていたのだった。(注:単なる崖崩れです)


 その頃、大江山の鬼の洞窟では白拍子に化けた夕梨が酒呑童子や
蔚薔薇木童子達に酒をついでまわっていた。
「お前は見れば見るほど俺が欲しいと思っていた女ににているな」
蔚薔薇木童子が夕梨に言った。
「そうですか。それはうれしい。さあもっともっと飲んで。」
そう言いながら夕梨は葉出ィと双子達に指図して強い酒をすすめていた。
(でもお尻をさわられるのはかなわない!と内心蔚薔薇木童子を
ひっぱたきたい気持ちをぐっとこらえていた)

「さあ、それでは、もうひとさし舞いましょうか?」夕梨がそう言って舞い始めた。
蔚薔薇木童子はもう鼻の下を伸ばしっぱなしであった。
「あともう一息!」そう夕梨が思った時

「夕梨は私のものだ!蔚薔薇木童子そばを離れろ!」
突然山伏に化けた魁留達一行が乱入してきた。
「魁留のバカ!もうちょっとだったのに!」
「お前はやっぱり夕梨姫か!とんで火にいる夏の虫とはこのことだ!俺の女にしてやる」
蔚薔薇木童子がそう言って夕梨に襲いかかろうとした。
「危ない!夕梨」魁留はそう言って蔚薔薇木童子に斬りかかった。
「名刀、膝丸の太刀を受けてみよ!」
「何のこれしき!真剣白刃取りっ!」そう言って蔚薔薇木童子は魁留の剣を受け止めた。
(愛変わらず、いや相変わらず進歩のない2人ですみません)
たちまち洞窟内は大混乱となった。

 魁留と夕梨達の活躍でついに酒呑童子ホレムヘブを討ち取ることができた。
「ふっ若さの勝利さ!」思わず魁留はつぶやいた。
 しかし、蔚薔薇木童子ラムセスはついに取り逃がしてしまった。
さすがに逃げ足だけは速いらしい!
「ちっ覚えてろ!俺には真剣白刃取りという奥義があるんだぜ!」
そう言ってエジプト方面へ逃げていった。

 さて見事酒呑童子を退治した魁留はその功績により皇太子となった。
そして帝の位についた魁留は皇妃となった夕梨姫といつまでも幸せに暮らしましたとさ。
めでたしめでたし。


                       〜おわり〜