***怪傑ラムセス 恐怖の薔薇館***  BYまゆねこ

【前編】

 エジプト王国に怪傑ラムセスという奴がいた。
彼は実はエジプトの将軍なのだが、ヒッタイト帝国の皇帝カイルのことをライバル視していたのだ。
 ある日ラムセスはかねてから狙っていたカイルの妃ユーリをさらって自分の国へ連れ帰ってしまった。
 じゃじゃ馬として知られるユーリもラムセスの逃げ足にはかなわずに、むざむざとさらわれてしまった。
 ラムセスはエジプトの自分の薔薇館に帰るとさっそくカイルに挑戦状を書いた。

           〜挑戦状〜

               カイル・ムルシリへ

 お前の大事なユーリはいただいた。
返してほしくば俺様の薔薇館まで来い!
まあ無理だとは思うがな。
何にせよお前がこの俺様にかなうわけはないのだ。
ニヒニヒニヒ!

PS、よい子だからっていばるなよ!
                      怪傑ラムセスより



 ラムセスは挑戦状を書くと部下のワセトにカイルに届けるように命じた。
「ラムセス様、このよい子だからっていばるな!ってのは何ですか?」
 ワセトが聞くとラムセスはすかさず答えた。
「ふん、あいつは昔から優等生で通っている。世の中必ずしも勝つのはよい子ばかりではない!というのを
悪い子ラムセス様が目に物見せてやろうじゃないか」
「要するに兄様は目立ちたいだけでしょ?欲しい女を手に入れたら黙ってればいいのに!」
 横から妹のネフェルトが口をはさんだ。
「うるさい。目立つことが俺様の信条だ。それに俺様のファンは俺が活躍することを願っている。
ムルシリを倒して今度こそ天河の主役をゲットだぜ」
「ラムセス!いいかげんにあたしを返してよ!それに天河の主役ってあたしのことなんだからね!」
 ラムセスに捕まったユーリが叫んだ。
「ユーリ、相変わらずじゃじゃ馬だな。だがこの薔薇館から逃げ出せると思うなよ。
ここは砂漠のど真ん中に加え塀には高圧電流、堀にはナイルワニにバラニアという
ピラニアの仲間?が放してある。奴が鉄剣を持ったとしても電流でビビビとやられるしくみさ!
グフフフ楽しみだな!悪い子ラムセスのファン楽しみに待っていろよ!」

 そう言ってラムセスはカメラ目線でピースなんかしてみせた。果たしてカイルはユーリを
無事取り返すことができるのであろうか?


【後編】

 さてラムセスから挑戦状を受け取ったカイルが怒ったのは当然であった。
「むむラムセスめ!よしユーリを助けに行くぞ!3隊長ついて来い」
 カイルはキックリが止めるのも聞かず3隊長を連れてユーリ救出に向かった。

 砂漠を横切る途中でルサファはカイルが奇妙な格好をしているのに気がついた。
「陛下、そんな格好をしていったいどうなさるおつもりなのですか?」
 ルサファが聞くとカイルは答えた。
「潜入と言えば、この格好に決まってるではないか!由緒ある?忍者装束が定番に決まっている」
 見るとカイルは全身真っ黒な忍者の格好をしていた。あまつさえ鉄剣まで背中に背負っている。
「よい子の陛下が何という格好を!お止め下さい。いつからラムセスに毒されたのですか?
それに砂漠ではかえって目立ちます。おい!ミッタンまでそんな格好をして!」
 カッシュが呆れて言った。
「砂漠は暑いから日よけには絶好だと思ったんだが…ハゲ隠しにももって来いなんだけど…」
 ミッタンナムワがぼやきながら言った。オイオイ、カイル!こんなことで大丈夫か?

 そうこうするうちに、ようやくカイル主従はラムセスの恐怖の薔薇館までたどり着いた。
確かに高い塀で囲まれ上部には高圧電流が流れているらしい。
「慌てることはない!この時のために3隊長がいるのだ。よし、行け!ミッタン」
 カイルがそう言うと、ミッタンナムワは拳に力を入れ塀に突き立てた。
バキバキバキッ!ミッタンの馬鹿力でたちまち塀は崩れた。
「ムムム、やるなムルシリ!だがここまで来るにはまだまだ障害はあるのだ」
 上から双眼鏡でこの様子を見ていたラムセスはつぶやいた。
 次の障害は堀にいるバラニアだ。いったいどうするのか?
「実を言うと俺達釣りは得意中の得意なんだ。」
 3隊長達はそう言うとすぐさま釣り糸を堀に向かって垂らし始めた。
そしてバラニアをちぎっては投げ、いや釣っては投げた。
「まだまだだ!俺には心強い番犬いやバラケンがいるのだ。行け!バラケンあいつらを追い出すのだ。」
 そう言ってラムセスはカイル達に凶暴な愛犬バラケンをけしかけた。
「ふっふっふ、慌てることはない!こういう事もあろうかと、ヒッタイトから保冷庫に入れてわざわざ持ってきたのだ。
ほうら、よい子だ!こっちへおいで!」
 カイルはバラケンの鼻先に向かってステーキ用の牛のヒレ肉を投げた。バラケンは喜んでしっぽを振って食いついた。
「この野郎!いつもバラ肉をあげているのに何という奴だ。主人以外にしっぽを振るなんて!
それに牛ヒレ、畜生!皇帝の権力にモノを言わせて、高い肉用意しやがって!」
「思った通りセコイ奴だな。ラムセス!さらに牛タン攻撃だ!バラケン、シオとタレどっちがいい?」
 さらにカイルは牛タン加えてカルビまで投げた。
「くそ〜俺だって焼き肉はスポンサー(ホレムヘブ王)がいないと食えないのに!
しかも奴のカラオケにつき合わないとおごってくれないんだ!」
 おいおいラムセス!こんな所でエジプト王国の内情を暴露してどうするんだ!そんなにセコイのか?(爆)

 こうしてカイルはラムセスの攻撃を突破して、薔薇のとげも何のその!館の中に入り込んだ。
「後少しでユーリの閉じこめられている部屋だ。みな気をつけろよ!」
 カイルはついに部屋の扉を壊しユーリに会うことができた。
「カイル!助けに来てくれるなんて嬉しい!」
 2人はひしと抱き合った。
 と、その時ミッタンがあることに気がついた。
「よかったですね。陛下、ふ〜安心したら俺はお腹がすいちゃった。お、こんな所に酒とラーメンがあるじゃないか!」
 そう言ってミッタンは酒を飲み、ラーメンに手を出そうと瞬間、
 ――――突然ビビビビと強い電流が流れた。何とラーメンだと思ったのは強力電気クラゲだったのだ。
「おいミッタン大丈夫か?今すぐ助けてやる。」
 そう言ってカイル達がミッタンナムワにからみついたクラゲを鉄剣で切ろうとして、またまた電気ショックを受けた。
そう!鉄は電気を通すのだ。
「カイル大変!早く鉄剣を離すのよ!それに電気を遮断しなきゃ!」
 そう言って、ユーリはカイル達に絶縁体の毛布を投げ鉄剣を離させた。ここのところはさすがに現代人の知恵というべきか?
 ところがミッタンナムワが飲んだ酒にも、何か入っていたらしくて彼はカイルだろうとルサファだろうと
誰彼構わず「愛してる!」と言ってキスしまくるのだ。これにはカイル達もたまらず逃げ回るばかりだった。
「ふふふふ王太后の所から盗んだ水の威力はさすがだな!」
 悪い子ラムセスは泥棒までやってたのか?
 しかし、それを聞いてピンときたユーリはミッタンナムワをけっ飛ばして飲んだものを吐き出させた。


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【ラムセスはっぴーえんど編】


「やっぱり!薔薇色の水!何でナッキーの水がこんな所まで…」
「やれやれ・・ひどい目に遭ったな。おいユーリ早くこんな館を出てハットゥサに帰ろう」
 ようやくひと心地ついたカイルが言った。
「ちょっと待ってカイル!ねえラムセスこの水王太后の所から手に入れたって言ってたよね?」
 ユーリが聞くとラムセスは言った。
「そう言えば王太后はナキアばばあ(そんな風に言ってるのか?)からもらったとか言ってたな〜」
「じゃあ王太后とナッキーはつながってるってこと?じゃあ、もうちょっとあたしここに残って調べてみようかな?」
 それを聞いてカイルはびっくりした。
「何だってユーリ!そんな危ないことさせられるもんか!ユーリそんなこといいから帰るんだ。」
 しかしユーリは聞かなかった。
「ねえラムセスここまで関わっちゃ協力しないわけにいかないでしょ!
 王太后とナッキーを調べる手伝いをしてくれるでしょうね?」
「じゃあ俺と結婚式でもあげて王太后でもおびき出してみるか?」

 こうしてユーリは思いがけずエジプトに残ることになった。
カイルはがっかりしたがユーリは言い出したら聞かないのでひとまずウガリットで様子を見ることにした。
「畜生ラムセスめ!よけいなことしやがって!しかし私が負けたわけじゃないからな。(どっかで聞いた台詞ですが…)」
 そしてカイルはウガリットへ前線基地を置きラムセスとユーリは結婚式を挙げることになった。
(このお話は5号あたりに続きます〜なんちゃって)


                                           ♪終わり











【ラムセスばっどえんど編】


「これは薔薇色の水!ナッキーってばこんな物までエジプトに輸出していたのね!」
「やれやれひどい目に遭ったな。ミッタンナムワも正気に戻ったことだし。ユーリ、すぐにハットゥサに帰ろう。」
 とカイルが言ったその時であった。

「はあ〜いラムセスく〜ん♪ひっさしぶり!1曲いきま〜す。俺はホレムヘブ〜♪♪♪」
 と突然耳をつんざくような歌声が聞こえてきた。
「何だ!あの声は聞くに堪えん!ラムセスいったいあれは誰なんだ?」
 カイルが聞くとラムセスは答えた。
「そうか!お前達はあれを聞くのは初めてだったな?一応俺の主人エジプト王ホレムヘブだ。」
「王がなぜこの館までやってきて歌を聴かせるんだ?」
 ルサファが聞くと
「そりゃ他に聞いてくれる奴がいないからに決まってるからじゃないか!
ちょうどいい!ムルシリ、一緒につき合わないか?聞いてくれるのがいるだけで奴は喜ぶぜ」
 ラムセスがそう言うとカイルはびっくりした。
「何だって、冗談じゃない。ヒッタイト皇帝が密かにエジプトに潜入しているだけでもまずいのに、
あの歌声を聴かせられては…仕方がない。ユーリ!今回お前を助けられないのは残念だが、
この次は絶対取り戻すから待っているんだぞ!悔しいがラムセスお前に負けたわけじゃないからな!」
 そう言ってカイル主従はそそくさと忍者スタイルの黒装束に身を包んで行ってしまった。
「ちょっと待ってよ〜カイル!あたしをエジプトに残して行く気なの?」
 ユーリは叫んだがカイルはすでに館から出ていってしまったようだった。
「ムルシリは行ってしまったか!しかし皮肉なものだ。ホレムヘブごときに助けられるとは!俺もヤキが回ったかな?」

 ラムセスがほっとして、ため息をついたとたん
「王がおいでになります。」
とワセトがラムセスに言った。それとともに
「やあラムセス君、わしを待ったかね?さっき変な黒装束の奴らとすれ違ったがスパイダーマンか何かか?
まあいいさっそくわしの美声を聴かせてやろう」
 やれやれ…カイルはユーリを置いて去ったものの一難去ってまた一難!
ホレムヘブのジャイアンリサイタルとやらを聴かされるはめになったラムセス
とユーリの哀れさと言ったら…合掌
 さすがの怪傑ラムセスもホレムヘブの歌声にかかっては台無しであった。トホホ…。

                                                   
                                                ♪終わり