認定心電検査技師の試験勉強ノート♪

日本臨床衛生検査技師会主催の認定心電図検査技師(第12回)の勉強のために作ったまとめです。
試験範囲はほぼ網羅しているはずですが、
波形の画像やアナログで書き足した部分等は入っていません。
これから受験する方のお力になればと思います。

【注意】
当ページは個人サイトです。
日臨技、日本臨床検査同学院とは関係ありません。
どうしても質問がある方はこちらをお読み頂いた上で
管理人までお願いします。

問題の傾向も変わる場合もあります。
内容の質問等は受け付けません。
ご自身でしっかり調べて、勉強してくださいませ♪




出題傾向については【こちら】をどうぞ


参考文献はこちらを使用しました。
リンクはAmazonに繋がります。

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微かな記憶ですが、出題されたようば場所が赤字になっています。
うろ覚えなので参考程度にどうぞ♪

◆心周期の区分、心臓について
・等容性収縮期
心室の収縮が始まる段階。心室内圧は上昇し、すべての弁は閉じる。
・駆出期
心室内圧が動脈内圧を上まわる。動脈弁が開き、心室内の血液は動脈へと流れる。
・等容性弛緩期
心室筋の弛緩が始まる段階。血液が動脈へと流れ出た後、心室圧は低下する。心室圧が動脈圧を下回ると、すべての弁が閉じる。
・充満期(流入期)
心室内圧が低下して房室弁が開き、心房の血液が心室に流れ込む。


T音:僧帽弁閉鎖→大動脈弁開放、低く長い音、R波(収縮期)
U音:大動脈弁閉鎖、高く短い音、T波の終わり(収縮期)
V音:僧帽弁開放(拡張期)
W音:P波のおわり(拡張期)

*V音、W音
房室弁開放音、駆出音などがあり、多くは病気の際に聴取される
心不全の際などに高率に聴取

*心拍出量(L/分)=1回拍出量60〜130ml(L/拍)?心拍数(拍/分)

・心臓の重さ:250〜300グラム
・肺動脈弁は大動脈弁より高位、前方に位置
・高血圧の基準:140/90mmHg


◆心臓神経
・心臓―自動的に拍動能力をもつ
・心臓神経(交感神経と副交感神経)によって調節されている。
・心臓血管中枢は延髄にある。
・交感神経活動の亢進:心拍数増加、心筋収縮力増強、刺激伝導系の伝導速度の促進
・副交感神経の亢進は:心拍数減少、心筋収縮力低下、刺激伝導系の伝導速度の遅延

@ ベインブリッジ反射
:血液がたまり、右心房の内圧が上昇→交感神経が刺激され興奮し→心拍数の増加、排出量をふやす。
A 頚動脈洞・大動脈弓反射
:血液のモニタリングであり、血圧が上昇すると副交感神経に伝わり、心拍数が減少する。
B 頚動脈小体・大動脈小体反射
:CO2のモニタリングであり、血中CO2濃度が上昇すると交感神経が興奮し、心拍数が増加する。
C 呼吸反射
:吸息すると心拍数が増加し、呼息すると心拍数が減少する。

D 感覚反射
:激痛を感じると心拍数が増加したり、眼球圧迫によって心拍数が減少したりすること。
(アシュネル反射…眼球を圧迫すると、心拍数が下がる)


収縮期心内圧
右心房:5 mmHg
左心房:10 mmHg(5×2=10と覚える)
右心室:25 mmHg(5×5=25と覚える)
左心室:125 mmHg(5の5乗と覚える)

◆心筋細胞の活動電位
・細胞内:静止膜電位 ‐90mVに保たれている→細胞内はマイナス、細胞外はプラスに分極
・細胞内がマイナス、細胞外がプラスに分極していたのが、ゼロ(0)になって分極から脱するので、脱分極という。
・Caイオン:心筋の収縮に重要な役割
0相:Naの内向き電流による急速脱分極
1相:一過性の外向きK電流による初期再分極
2相:内向きCa電流と外向きK電流のバランスによるプラトー相
3相:外向きK電流による再分極



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◆標準12誘導
≪双極誘導≫
  標準肢誘導のT・U・V誘導は、右手、左手および左足の2電極間電位差を誘導する双極誘導である。
T誘導 右手(−)と左手(+)の電位差
U誘導 右手(−)と左足(+)の電位差
V誘導 左手(−)と左足(+)の電位差


≪単極誘導≫
・標準肢誘導のaVR・aVL・aVF誘導と単極胸部誘導のV1・V2・V3・V4・V5・V6は、
局所電位を誘導する単極誘導である。
・右手、左手、左足を一つに連結させた不関電極(ウィルソンの結合電極)と
電極装着部位(+)との電位差を誘導することでVR・VL・VF・V1・V2・V3・V4・V5・V6の波形が得られる。
・ウィルソンの結合電極を改変したゴールドバーガーの増大単極肢誘導 aVR・aVL・aVF(aは増大augmentedの略)によって
VR・VL・VFの1.5倍の振幅の電位波形が得られる。

◆波形の成り立ち
P波   0.1秒 0.25mV以下 心房の脱分極
QRS波 0.06〜0.1秒 心室の脱分極
T波   0.1〜0.25秒 0.5mV以下 心室の再分極
PQ時間 0.12〜0.20秒 房室伝導時間
QT時間 0.35〜0.45秒 電気的収縮時間
*補正QTc バゼットの式、フリデリシアの式(補正しなくても0.5秒以上は延長)
*VAT:心室興奮到達時間(QRSのはじまりからRの頂点まで)
 V1(右室) :>0.035秒
 V5、V6(左室):>0045秒

◆心電図の計測
・記録速度 25mm/sec 、感度 1cm/1mV、1mm 0.04秒
・1500/実測mm=心拍数
*簡易法 5mm=1マス
1マス 300回
2マス 150回
3マス 100回
4マス 75回
5マス 60回
6マス 50回


◆電気軸
・正常軸 −30〜90度
・左軸偏位 −90〜−30度
・右軸偏位 90〜180度
・不定軸:病的意義は少ない。時に肺疾患や先天性疾患のことがある。

<右軸偏位の原因>
@右室肥大・拡大:
僧帽弁狭窄,肺動脈狭窄,原発性肺高血圧,Eisenmenger症候群, Fallot四徴症など
A左脚後枝ブロック:立位心・右室肥大を除外でき,かつQRS軸120°以上
B右胸心
C肺性心
D前側壁梗塞
E WPW症候群(A型)
F 立位心:やせ型,滴状心

<左軸偏位の原因>
@ 左脚前枝ブロック
虚血性心臓病(心筋梗塞、狭心症など)、高血圧、心筋症、三尖弁閉鎖、心内膜床欠損など
A左室肥大
高血圧、大動脈弁膜症、大動脈縮窄、三尖弁閉鎖、大動脈炎症候群
B横位心(水平位心)
肥満、妊娠、腹水、腹部腫瘍
C下壁梗塞
QU、Vが深くなることによる。通常の左軸偏位と意義が異なる。
EWPW症候群(B型)
F肺気腫:胸郭内空気含量の増加による電場の変化による。


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◆心電計
(1)クラス機器分類

クラス分類

保護手段

追加保護手段

備 考

クラスT機器

基礎絶縁

護設置

医用3Pプラグを持つ(漏れ電流を大地へ逃がす)。
保護設置抵抗 0.1Ω以下

クラスU機器 

補強絶縁

絶縁が二重となっており、設備側は2Pコンセントでもよい(一般家庭でも使える)

内部電源

ME機器

内部電源

内部に電源(乾電池や蓄電池)がある。
電源アダプタ等を接続する場合はクラスTUと同等。

形別分類

漏れ電流の許容値

(最少感知電流の1/10

保護形式

適応範囲

B

100μA

マクロショック対策

保護なし

体表のみ適応可

BF

100μA

マクロショック対策

フローティング

体表のみ適応可

CF

10μA

ミクロショック対策

フローティング

直接心臓に適応可

(多くの心電計)

B(Body)は身体、C(Cardialまたはcor)は心臓、F(Floating)はフローティング方式を意味する。


◆人体に流れる電流と反応
0.1mA :直接心臓に流れると心室細動が発生する(ミクロショック)100μA
1mA :ピリピリと感じる、最小感知電流(マクロショック)
10mA :手を離すなど筋肉を自由に動かせなくなる、離脱限界電流(マクロショック)
100mA :心室細動が発生する(マクロショック)



◆心電計の構造と働き
(1)入力部
・保護回路、誘導選択機、校正装置により構成される
・近年の心電計:T、U、V1〜V6までの8誘導を検出し、残りのU、aVR、aVL、aVFはデジタル処理
(2)増幅部
・入力信号には交流雑音やドリフトも混入している→差動増幅器で交流雑音を除去
<差動増幅器の原理>
・二つの信号が入力
心電図信号である逆相成分→差動増幅器で増幅する
交流雑音信号である同相成分→増幅させない

・弁別比
逆相成分の増幅度/同相成分の増幅度の比率(同相成分、交流雑音を除去する能力)、大きい方が良い
 心電計の増幅度:60dB以上
(3)演算処理部
 @周波数特性
  ON :基線動揺除去フィルター 0.5〜150Hz
  OFF :基線動揺除去フィルター 0.05Hz〜150Hz
 Aフィルタ
  1)筋電図フィルタ(高周波除去フィルタ、QRS波が小さくなる)
   150Hz :フィルタOFFの設定
   100Hz :小児以外ではこの設定、R高などもよく再現される
   35(40)Hz:筋電図フィルタON
  2)基線動揺除去フィルタ(低周波除去フィルタ)
  ・呼吸による基線の動揺を除去するためのフィルタ、0.5Hz以下
  ・ST部分に影響を与えにくくする
 Bハムフィルタ
  ・交流周波数成分を取り除くフィルタ
  ・従来のアナログフィルタはQRSが小さく記録されるが、デジタルフィルタでは影響少ない

(4)心電図解析部
(5)表示部
(6)記録部
 サーマルアレイ式記録計(現在の記録器の主流)
・ペンの運動を必要としない記録計。
・ペンの代わりに微小熱発熱素子を使用し、感熱紙に記録。
・周波数応答は高く、数kHz程度の信号までリアルタイムに記録可。
・目盛り罫線や目盛り数値、あるいはタイトルや注釈などのテキスト分も波形と同時に書き込むこともできる。



◆心電計の性能と特性
(1)必要感度:1mV=10mm
(2)正弦波特性
 ・10Hzにおける10mm振幅を100%
 ・0.5〜60Hzは90〜105%以内、75Hzで71〜105%以内
(3)低周波特性
 ・時定数3.2秒以上、低域遮断周波数0.05Hz以下
 *時定数とは?
  校正用電圧の0.04秒後の振れを100%として、
1/eの高さ(37%、0.37または1/3)まで下がるのに要する時間。
時定数が低い→ST−Tがひずむ
(4)内部雑音(入力換算値)
 IEC規格 30uVp-P以下
(5)入力インピーダンス
 2.55MΩ以上
(6)同相弁別比(CMRR)
 ・正弦波特性:0.05〜150Hz、時定数3.2秒以上
 ・同相弁別比:103dB以上
・内部雑音:30uVp-P以下

*ペースト
・ペーストには電解質が含まれ、電極と皮膚間の分極を少なくする。
・分極電圧が発生すると、基線が激しく動揺するアーチファクトとなって現れるのため、ペーストを付ける。
・ペーストの塗りすぎや電極同士の接触による電極間ショートに注意する。

*基線の動揺(ドリフト)
原因:電極とペースト間に発生する分極電圧の変動により発生する
対策:不分極電極の使用、新しい電極を使用する、皮膚を綺麗にする
(電極の分極電圧:低いほど良い)

*アナログ心電計:患者保護ヒューズ 5mA以下
 デジタル心電計:ヒューズの代わりに10〜20KΩ程度の保護抵抗を用いる

*ペースメーカー
 高域周波数特性に依存

*インスト回路は過大な信号を遮断する(コンデンサ使用機器では蓄えられた電圧を放電する)



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◆負荷心電図
【適応】
労作で誘発される安定狭心症の診断、心疾患患者の運動耐容能評価、運動に関連する不整脈の検出
【禁忌】
急性冠症候群、不安定狭心症、重症大動脈弁疾患、急性熱性疾患、運動器・神経疾患
*目標心拍数(予測最大心拍数)=(220-年齢)/分の80〜90% 年齢のみで決定

(1)マスター二階段試験
・安静時心電図を記録し、異常のないことを確認してから負荷試験を行う。
・9インチ(高さ23×奥25×幅61 cm)の高さの凸型の2階段を用いる。
・年齢、性別、体重より昇降回数を算出。
・1分30秒(シングル負荷)、3分で(ダブル負荷)、4分30秒で(トリプル負荷)
・運動後、直ちに仰臥位で心電図を直後、(1分)3分、5分、(10分)と記録し負荷前の状態に回復するまで必要に応じて記録する。
<注意>
・負荷前に、患者との対話(問診)から最近の症状の有無や程度を確認し、危険な徴候を見逃してはならない。
・運動中の心電図をモニタリングしていないので、負荷中の患者の状態に十分気をつけなければならない。
<利点>
・装置が安価で簡便
<欠点>
・一定の身体機能が要求される
・あらかじめ決められた負荷量に依存する限界がある
・運動中の心電図・血圧モニターがない

(2)トレッドミル試験
・動くベルトの上を歩行する前後の心電図・血圧を記録する。
・症候限界性多段階運動負荷試験
<ブルース法>
・3分ごとに負荷のステージが上がる。日常生活レベルから始まり、比較的早く限界レベルに上がる。
・心電図:メイソン・リカー法(四肢を動かしながらECGを測定できる)が用いられる

(3)エルゴメーター負荷試験
・設置自転車をこぐ前中後の心電図・血圧を記録する。
・ペダルの重さ(トルク)を一定のプロトコルに従って漸増する。
・ランプ法:仕事量(回転数とそれに応ずるトルク)が25ワットから3分ごとに25ワットずつ多段階的に増加する方法
・トレッドミルより安価
・負荷の定量性に優れる
・呼気ガス分析を同時に行う心肺運動負荷試験に用いられる

*負荷方法
ランプ法 :直線的に負荷を増加
多段階負荷法 :一定時間ごとに運動強度を増加


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◆ホルター心電図
<目的>
発作性、間欠的に出現する不整脈の検出、狭心症の診断、心疾患患者の経過観察、自律神経機能の評価
<誘導法>
・双極誘導法
 NASA誘導:P波の検出に優れる、基線の動揺・筋電図少ない
 CM5誘導:ST低下の検出に優れる、基線の動揺・筋電図少ない
 CC5誘導:ST低下の検出に優れる、体位の影響が少ない

・胸骨柄に−電極を装着できない場合は、左右の鎖骨上、V5R(CC5)につけるのも一つの方法である。
・アース:
@ P波が明瞭に記録できる誘導:NASA・CM5
上室性期外収縮、房室ブロックの判定に有利。
A 振幅が高いQRS群(波形)が記録される誘導:CM5・CC5
自動解析時の拍検出に有利。
B 心室性期外収縮の発生源の推測が可能な誘導:CM5・CC5・CM1
右室源性心室性期外収縮:CM5で初期陽性波、CM1で初期陰性波
左室源性心室性期外収縮:CM5で初期陰性波、CM1で初期陽性波
C ST-T変化が確認しやすい誘導:CM5・CM2・CM3
心筋虚血由来のST-T変化の判定に有利。

<装着方法>
@ 皮膚の前処理
1) アルコール綿で装着部位をこする(皮膚のよごれや皮脂を落とす)
2) スキンピュアをガーゼにつけて同じ方向に2、3回削るようにこする
3) ぬるま湯(水)でぬらしたガーゼで余分なスキンピュアをふき取る
4) 電極装着
5) 患者説明
・電気毛布など電子機器の使用を避ける
・電極に触れない、ショルダーバックのベルトが電極に当たらないように注意する
・静電気が発生しやすい衣服の使用禁止など

<雑音の混入>
・発汗による基線の動揺、電極が押される、誘導コードで引っ張られる、静電気・電磁波など外来ノイズ、電極の浮き・はずれ
<ホルター心電計>
・記録器と再生・解析装置からなる
・行動と症状日誌を記録し、症状出現時に記録器のマークを押す
<評価法>
・24時間心拍数、不整脈、ST偏位などが自動で検出される
・心拍数、2秒以上の心停止(ポーズ)、期外収縮、ST偏位のレベルが夜間睡眠中・日中覚醒時別・時間帯別に集計される、トレンドグラフ

<解析と判読>
(1) 自動解析:波形を4種類に分類
 正常波形(N: Normal)
上室期外収縮(S: Supraventicular)
心室期外収縮(V:Ventricular)
アーチファクト(A:Artifact)
(2) ST-T変化
1) ST下降(1?1?1ルール)
@ 0.1mV以上の水平または下行傾斜型の下降
A 最大ST下降に到達するまでに1分を要し
B 0.1mV以上のST下降が1分以上持続する
2) ST上昇
・Q波のない誘導で0.1mV以上のST上昇が30〜60秒以上持続する場合を虚血陽性と判定。心拍数と関係なくST変化が見られる。
(3) 体位変換によるST変化
 ・波形の変化が急激
・変化時に筋電図や基線の動揺が見られることが多い
・夜間就寝中に観られることが多い
(4) 緊急報告する症例
 ・RR延長(心房細動含む)4秒以上
 ・心室頻拍5連続以上(>100bpm)
 ・症状を伴う上室頻拍
 ・ST上昇(陳旧性心筋梗塞は除く)
 ・胸痛、めまいなど緊急報告が必要場合




◆モニター心電図
・計測パラメータ:
心電図、呼吸、動脈血酸素飽和度(SpO2)、血圧(非観血血圧、観血血圧)、体温、心拍出量
・一人用:ベッドサイドモニタ
・多人数用:セントラルモニタ、ナースステーションに設置
・誘導法:U誘導に近似した誘導、T・V誘導も使用可能
・装着部位の工夫
 やせ型:心臓垂直方向 緑(F)を少し下で正中寄りにする
 肥満型:心臓横方向 緑(F)を少し上で左横寄りにする

◆イベントレコーダー
・イベント発生時に記録を行う間欠記録心電計
・1〜2週間、イベントを観察することで不整脈の累積検出率を上げることができる
<使用目的>
・出現頻度が低い(ホルター心電図で見つからない)不整脈の診断
・一過性意識消失発作の診断
・カテーテルアブレーションの予後診断(心房細動、発作性上室頻拍、心室頻拍など)
・往診・訪問診療で使用
・災害現場、緊急時
<種類>
(1) 非ループ型:体表に機器の電極部を押し当てて記録、イベントボタンを押した直後より保存
(2) ループ型:体表に電極を装着。連続的に心電図を記録しているが症状を自覚したときにイベントボタンを押す。
(3) 自動検出型:体表に電極を装着、検出する不整脈やST異常を機器に設定
(4) ループ型+自動検出型

◆体表面心臓電位分布図(マップ)心電計
・体の前面と背面に約100個の電極を取り付け、心電図を記録
・各電極で同時に心電図を記録し、心臓の興奮の伝わり方をより詳しく調べる検査。
・心筋梗塞や伝導障害、またWPWや心室性期外収縮といった不整脈の精査に有用
◆携帯型発作時記録心電図
2日間以上連続して記録することができる心電図

◆食道誘導心電図
利点:大きく明瞭なP波を得ることができる。
欠点:電極カテーテルが太く,危険と苦痛を伴う

◆加算平均心電図
・通常の12誘導心電図では記録できない微小電位を検出し記録する心電図
・誘導:X、Y、Z誘導のベクトル各誘導から得られる心電図を加算する
・加算平均法:多数(100〜500拍)の心拍を重ね合わせて平均化する
・ノイズ、アーチファクトが混入しないようにする→トリガー機能、フィルター機能
・心室遅延電位(LP)の検出に有用
:心筋梗塞、心筋症、不整脈源性右室心筋症、心サルコイドーシス患者のリスク評価に用いられる

◆His束心電図
刺激伝導系の伝導障害(特に房室ブロック)の部位と重症度の判定のために検査

◆心室遅延電位検査
心筋内伝導遅延の有無を調べる(リエントリー性不整脈の原因)

◆ベクトル心電計
・心臓の興奮によって生じる心起電力を、心臓内の1点から発する空間ベクトルとして描記する装置。
・正面図、水平面図、側面図の3平面投影ごとに、ベクトル環を点線で表し、それぞれをブラウン管上に描記し、記録の必要があれば写真撮影する。
・X‐Yレコーダーを用いて直記できるものもある
・ベクトル環の形状、回転方向によって心起電力の空間的な特徴が理解しやすいうえに、
心電図の各誘導間の関係を詳しく分析できる利点がある。しかし、判読には高度の専門的能力が要求されるために、一般の診療機関には普及していない。

◆ヘッドアップティルト試験(自律神経機能の基本的なスクリーニング検査)
【検査の目的】
起立性低血圧、体位性頻脈症候群、神経調節性失神の診断
【必要な機器】
・電動式または手動式のティルトテーブル
・非観血式連続血圧
・心拍数測定装置(フィナプレスまたはトノメトリー式)

【手 技】
・食事性低血圧の影響を除外するため、空腹時または食後2 時間以上の時点で行う。
・被験者が失神を起こして転倒する危険があるので、介助者と共に必ず2人以上で行う。
・血圧・心拍数のモニター下で行う。自動血圧計を用いる場合は、30 秒〜1分毎に血圧・心拍数を測定する。
・臥位で10 分間以上、血圧・心拍数をモニターする。
・30 秒かけて、ティルトテーブルの傾斜角を60〜80°にする。
(高度な起立性低血圧:20〜30°の傾斜角)
・検査中に気分不快や顔面蒼白を認めた場合は、直ちに臥位にもどす。
・起立性低血圧、体位性頻脈症候群の診断には3分間以上のヘッドアップティルトでよいが、
神経調節性失神の誘発には30 分以上を要することが多い。
・病巣診断のために、ティルト前とティルト中に採血して、血漿ノルアドレナリン(交感神経節前障害と節後障害の鑑別)、
さらにアルギニン-バソプレシン(圧受容器求心路機能の評価)を測定することが望ましい。
ノルアドレナリン値はティルト3 分以上の時点であれば十分評価できるが、
アルギニン-バソプレシン値はティルト30 分以上の時点で評価するのが望ましい。

【成績の評価】
・一般にヘッドアップティルトによる収縮期血圧下降>20 mmHg、拡張期血圧下降>10mmHg のとき、起立性低血圧と診断する。
・一般に起立性低血圧がなく、心拍数増加>30/分のとき、体位性頻脈症候群と診断する。
・神経調節性失神では、ティルト直後ではなく、長時間のティルト中に血圧が下降し、心拍が停止する。



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◆心電図検査の進め方
(1)検査前
・室温:25℃前後(上半身を露出しても寒くない程度)
・検査を行う前に検査者の手指消毒を行う。
・被検者の左側からアプローチする。
(2)検査中
・電極の点け間違いやアーチファクトの混入がないことを確認し記録を行う
・不整脈が出現している場合は眺めの記録を行う。
右室梗塞→右側誘導記録
Brugada型→高位誘導記録

(3)検査後
・胸部電極から速やかに外す。その際につけ間違いがないかを確認
・検査者の手指消毒を行う。

◆精度管理
(1)内部精度管理
・模擬波形発生装置より得られた波形を精度管理心電図として記録し、X−R管理図を作成する。
 PR間隔、QRS幅、QT間隔、QRS平均電気軸など
(2)手技精度管理
・標準操作手順書(SOP)
・前回値比較法
・技能評価手順書の作成
(3)外部精度管理

◆緊急時の対応
(1)緊急時の基本的行動
@異常(急変)を確認したら、患者から目を離さずスタッフへ応援要請する。12誘導心電図のモニタリングを行う
A応援者は医師へ連絡するとともに状況に応じて、緊急蘇生チームへ応援要請する
B救急セットを準備し、処置を行える場所を確保する。
C医師(緊急蘇生チーム)が到着後は医師の指示に従う
G 「緊急時の対応」の行動記録をおこない上長に報告する。
H
(2)心肺蘇生法(CardioPulmonary Resuscitation, CPR)
心肺機能が停止した状態にある疾患者の自発的な血液循環および呼吸を回復させる(救命する)試み、あるいは手技。
・一次救命処置(Basic Life Support, BLS):特殊な器具や医薬品を用いずに行う
・(Advanced Life Support, ALS):救急救命士や医師が気管挿入や高濃度酸素、薬剤投与を行う二次救命処置


(3)成人のBLSアルゴリズム(CPR)
・最初に意識確認(呼吸ではない)
・人工呼吸はしなくてもよい
・胸骨圧迫:人工呼吸=30:2
・5〜6cmの深さ100〜120回/分

(4)緊急連絡心電図
@頻脈性不整脈
・Wide QRS tachycardia
・Narrow QRS tachycardia(>140bpm)
A徐脈性不整脈
・心拍数40bpm以下
・MobitzU度以上の房室ブロック
・2.5秒以上の心停止
B虚血性心疾患
・急性冠症候群を示唆する心電図
・ST低下・上昇
C新たに出現した心電図変化
・脚ブロック
・QT延長・短縮
・陰性U波

(5)AEDで「ショックは不要です」
・心臓が拍動しているとき
・無脈性電気活動(pulseless electrical activity;PEA)
・心静止のとき
・AEDが内蔵している心室細動(VF)、心室頻拍(VT)の検出条件を満たさないとき
*AEDは心電図と感度が違うため、AED装着後も心電図モニターを行い正しい心電図を記録する
心室細動、心室頻拍:電気ショック必要(抗不整脈薬:アミオダロン)
心静止、無脈性電気活動(PEA):電気ショック不要、すぐに心肺蘇生

◆安全対策・感染対策
(1)安全対策
1)患者移乗の方法と注意点
・車椅子はベッドと30〜45℃の位置に置き、車輪が動かないようにブレーキをかけ、足置きを上げる。
・片麻痺患者や骨折など下肢の支持性に左右差がある患者は、健側周りにすることで安全かつ容易に移乗することができる。
2)介助者の基本姿勢
・足を少し左右に広げ、基底面を広くする。
・腰を少し下げ、重心を低くする。
・患者にできる限り接近する
・身体をねじらない
・車椅子→ベッド移乗:ベッド高が車椅子と同等か、やや低くなるように高さを調節する。
(2)感染対策、その他
・接触抵抗(皮膚と電極間の抵抗力)をできるだけ低くするために、アルコール綿などで皮膚を拭き、皮膚との接触抵抗を下げる。


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◆薬剤について
*TaとV:QT延長症候群に注意
*デルタ波が明らかな WPW 症候群の頻拍発作には房室結節を抑制する薬剤
(カルシウム拮抗薬、ATP、ジギタリス、β遮断薬)は禁忌→Naチャネル遮断薬

(1)ACE阻害剤(アンジオテンシンU変換酵素)・アルドステロン拮抗薬
・血圧をあげるホルモンを抑制、血管拡張作用
・高血圧、心不全適応
【禁忌】妊娠(催奇形性)、高度腎機能障害(高K血症)

(2)β遮断薬
・交感神経に作用(脈を遅くする、血圧を下げる)、心筋の虚血改善
【禁忌】房室ブロック、ぜん息

(3)カルシウム拮抗薬
・冠動脈を拡張させ、血流改善
【禁忌】房室ブロック、WPW症候群

(4)強心薬(ジキタリス)
・心収縮増強作用(カルシウムを増やし、心筋に作用して血液を送り出す)
・迷走神経に作用→徐脈

(5)利尿剤:余分な水分を排出



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◆冠動脈について
(1)バルサルバ洞
・大動脈の基部にある少し膨らんだ部分
・左右の冠動脈が起始
・左右に冠動脈→左冠動脈→前下行枝、回旋枝→左心室や心房を中心に血液を送る
   →右冠動脈→右心室や左心室に血液を送る
・灌流した後の血液は冠静脈洞から右心房へと集められる
*房室結節:冠状静脈洞の開口部前方に位置

(2)冠動脈の血流→主に拡張期に流れる
(3)左前下行枝:前室間溝を走行する
(4)心筋:心内膜側が虚血しやすい→ST低下→心外膜に達する→ST上昇

◆心筋について
・横紋筋、単核細胞(まれに2核)、不随意筋
・心房には、血圧と血流の制御に関連する心房性ナトリウム利尿ペプチドホルモンを分泌する心筋細胞が存在
・心筋の絶対不応期 200msec(骨格筋1〜3msec)
・心房筋と心室筋は線維輪で完全に連絡を断たれている。

(1)心房筋:2層 横走
・外筋層(浅層筋):左右心房を共通に取り囲む形で線維輪に平行して横走する
・内筋層(深層筋):それぞれの心房を囲むように輪状に縦走する

(2)心室筋:3層 斜走
・外筋層(浅層筋)は線維輪からおこると右上方から左下方に斜めに走り、
心臓の先端部の心尖で螺旋状に渦を巻いて心渦を形成し、内部に進入して内筋層(深筋層)に移る。
・外筋層と内筋層は8の字形を書くようにして左心室面近くを左上方に斜走し線維輪に付着する。
内筋層の発達は弱くて薄いが、一部は心室内壁の肉柱や乳頭筋をつくっている。

(3)刺激伝導系
・特殊筋線維で構成

◆心膜について
・心臓を包む強靭な結合組織性の嚢
・漿膜性心膜と線維性心膜(外側)より構成
・漿膜性心膜の壁側板と臓側板の間には心膜液を含む心膜腔があり、心臓の過拡張を防いでいる
・心膜液(10〜15ml)は心臓の活動を円滑にする潤滑油の働きをしている
・心膜腔内に急速に液体が貯留→心タンポナーデ
・心内膜と区別して心外膜ということもある。
*心タンポナーデ:血圧(動脈圧低下)、静脈圧上昇、心音微弱(Beckの三徴)



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波形について
◆小児の心電図の特徴
(1)頻脈(特に乳児)
(2)呼吸性不整脈が多い
(3)P波
(4)QRS波
・出生直後の電気軸は強い右軸偏位を呈するが,年齢と共に変化する.
 新生児では+90〜 180°、乳児では+30〜110°、学童では0〜90°
・Q波はU,V,aVF, V5,V6でみられるが,幼児期以降に減高する.
・胸部誘導のR波:左側胸部誘導より右側胸部誘導のほうが高い,年齢と共に左側胸部誘導のR波が高くなる.
 V1のRsr’型:単独では病的意義ない
(5)T波
・出生直後はV1からV6まで全て陽性→右側胸部誘導は陰性化,左側胸部誘導は陽性化.
その後は発育に伴ってV4 V3 V2 V1と順次陽性化する.
V4は4〜5歳までに,V3は10〜11歳ごろまでに,V2は12〜 14歳ごろまでに,V1は16歳以上で陽性化する。
(6)伝導時間(PQ、QT時間)
・年齢とともに成人の値に近づく

◆早期再分極
・若年男性に多い無症候性のST上昇(QRS-ST接合部(J点)の上昇)
・心筋梗塞と比べると、鏡像現象がない
・ST上昇の程度に日内変動がある、頻脈や過換気により軽減もしくは消失することもある
・従来は健常人の5?10%にみられる。その一部で心室細動による突然死との関連性を指摘。

◆移動性ペースメーカー
心臓を収縮させる電気刺激の発生部位(ペースメーカー)が、洞室結節内および房室接合部にかけて移動している状態。
自律神経の影響で起こることが多く、治療の必要はない。

◆ 左房調律
・電気の発生源が通常の右房ではなく、左房より発生
・左房筋の一部にペースメーカー機能が移った場合を左房調律(left atrial rhythm)という。
・心房興奮は左→右方向に向かうため、T、V6に陰性P波

◆下部心房調律
U、V、aVFで陰性P波


◆脚ブロック
QRS幅が0.12秒(3mm)以上→完全脚ブロック、QRS幅が0.12秒(3mm)未満→不完全脚ブロック


(1)右脚ブロック
・V1誘導ないしV2誘導でrSR'パターン
・I誘導とV6誘導で幅広いS波

(2)完全左脚ブロック
・V1誘導でQSパターンを呈し、V6誘導でq波を認めない

(3)左脚前枝ブロック
・著明な左軸偏位(-45?-90度)
・QI SVパターン(I誘導でq波、V誘導で深いS波)を認める
(3)左脚後枝ブロック まれ
・著明な右軸偏位(+100?110度)
・SI QVパターン(I誘導で深いS波、V誘導でq波)を認める
<左脚ブロックの原因>
大動脈狭窄症、拡張型心筋症、急性心筋梗塞、狭心症

*三枝ブロック:完全右脚ブロック+左脚前肢ブロック+第一度房室ブロック
*へミブロック:左脚のどちらかがブロック

◆右房負荷
*心房の拡大:UとV1で見る
・V1のP波 2.5mm以上、肺性P(高く尖る)
・U、V、aVFいずれかのP波幅 2.5mm以上
・S1S2S3パターン:TUV誘導で出現する小さなS波、COPDで認めやすい(右房負荷、右軸偏位)
<疾患>
三尖弁疾患、肺動脈狭窄(PS)、心房中隔欠損(ASD)、COPD



◆左房負荷
・V1、V2 後期陰性波増大
・T、U、Vの2峰性P波(Uの後期陽性拡大。0.12秒以上)

<疾患>
僧帽弁疾患(狭窄、閉鎖不全症)、大動脈弁疾患(狭窄、閉鎖不全症)、虚血性心疾患、高血圧、心筋症
*Morris指数:左房拡大の指標、V1でP波の陰性成分の幅?深さが0.04mm秒異常を拡大あり
◆心室肥大
元の原因→高血圧
肥大→心筋の一部が線維化、肥厚

◆右室肥大
・右軸偏位 +110°を超える
・V1、V2
 R波増高、V1で0.7mV以上、
S波浅いR/S比1以上
 ST-T下降(ストレイン型)
<疾患>
肺動脈弁疾患(狭窄、閉鎖不全)、肺高血圧、心房中隔欠損
肺高血圧症(右室肥大)の心電図


◆左室肥大
T、aVL、V5、V6 R波増高
V1、V2 深いS波
V5、V6  ST-T下降(ストレイン型)
<疾患>
高血圧、大動脈弁狭窄症、肥大型心筋症
*左室高電位の基準
・V5、V6のR波高:>2.6mm
・V1のS波高+V5(V6)のR波高い>3.5mm


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◆洞不全症候群 sick sinus syndrome(SSS)
・洞機能が低下
<ルーベルスタインの分類>
(1)T型
・持続性の洞徐脈
・P波が規則的だが遅い、常に40〜50/分以下
(2)U型
・洞結節からの電気信号が一過性に停止または心房に伝わらない
・洞停止(P波が突然出現しなくなる、RR間隔が基本RR間隔の整数倍にならない)
または
洞房ブロック(RR間隔が基本RR間隔の整数倍)
(3)V型
・徐脈頻脈症候群 bradycardia-tachycardia symdrome
・SSSに加えてAf→頻脈

*呼吸性不整脈
PP間隔 呼気時に長く、吸気時に短くなる


◆頻脈の分類
@上室性頻脈→治療 ジキタリス(迷走神経に作用させて徐脈にする、WPWは禁忌)
・洞性頻脈 100回/min( ⇔洞性徐脈 50回/min)
・発作性上室性頻脈
・心房細動
・心房粗動
A 心室性頻脈
・心室細動
・心室頻拍

*上室=心房+房室接合部
*上室頻拍
心房に旋回路または異常興奮起源が存在し、心拍数が100/min以上の頻脈性不整脈の総称
◆発作性上室性頻拍(PSVT)
・心房内や房室結節周辺で一分間に150〜250回の高頻度な興奮が発生する。
大きく3つに分類される
(1) 房室結節回帰(リエントリー)性頻拍 narrow QRS
 ・房室結節付近に回路がある。最も多い。
 ・P波とQRS波が重なるタイプ(逆行性P波とQRSが同時)、出てくるとしたらQRS波のすぐ後ろにP波

(2) 房室回帰(リエントリー)性頻拍 narrow QRS
・先天性に副経路(ケント束、WPW症候群)があり、ケント束を介して逆行性に上行。
・QRS波の後ろにP波が存在
・心房細動が合併→偽牲心室頻拍(RR間隔が不正)→血圧が低下しショック状態いなる
Ebstein奇形の約30%に合併



(3) 心房頻拍
・心房内で興奮が小さく回る、異常な電気的興奮が発生するもの
・異所性のP波が規則的に高頻度で発生
・1割程度、主に異常自動能、撃発活動


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◆WPW症候群
・ケント束とよばれる副伝導路、デルタ波 Wide QRS
・PQ時間短縮、QRS幅広い
・人口の0.006〜0.4%→10〜30%に頻拍発作(房室回帰性頻拍)
・心房細動→房室結節の正常な律速作用が迂回され,心室拍数の過度の上昇(200〜240/分)により,心室細動や突然死につながる可能性がある。
<治療>
・ケント束の伝導を切断するには、強力なNaチャネル遮断薬を使用する。
ジギタリスやCaチャネル遮断薬は、ケント束の伝導を促進するため禁忌。
・高周波アブレーション(心臓に挿入した電極付きのカテーテルから特定の周波数の電磁波[高周波]を照射する治療法)による副伝導路の破壊は、95%以上の人で成功している。異常伝導部位を焼却する。


◆LGL症候群
・ジェイムス束(James束):房室結節のなかにある副伝導路
・PQ間隔短縮、QRS波は正常
・PSVTの原因になる



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◆心房細動(AF)
・異所性の興奮が無秩序に発生。300〜600min/分 narrow QRS
・f波(細動波)、U・V・aVF・V1・V2で確認しやすい
・R-R間隔不規則、一回拍出量は低下
・90%が肺静脈起源の期外収縮のトリガー
・RonT期外収縮→ 発作性心房細動のトリガーとなる
・徐脈性心房細動:完全房室ブロックを合併した心房細動、ペースメーカーの適応
・Ashman現象:心房細動中にみられる心室内変更伝導
・僧帽弁狭窄症、SASと関係あり
・治療:塞栓症予防→ワーファリン、ジキタリス、Ca拮抗剤、カテーテルアブレーション、Maze手術


◆心房粗動(AFL)
・異所性興奮の心房内回帰 250〜300min/分
・F波(鋸歯状)
・2:1、3:1、4:1伝導
・1:1伝導→心房粗動わかりにくい→バルサルバ刺激(息を止める)→F波明瞭
・頻脈により血圧低下→Adams-stoles発作
(1)通常型(common type)
・三尖弁輪と下大静脈の間峡付近で反時計方向回転
U,V,aVFで陰性の鋸歯様波形が特徴

(2)非通常型(uncommon type)
・三尖弁輪を時計方向回転
・U,V,aVFで陽性の鋸歯様波形

◆心室頻拍(VT)
・幅広く変形したQRS波の連続(心室性期外収縮が3個以上連続)、120〜250min/分
・心拍出量が減少し,血圧低下,脳虚血による意識レベルの低下,失神をきたす。
・P波は見えない場合が多い
・治療:Naチャネル遮断薬、ジキタリス禁忌

*トルサード・ド・ポアンツ型心室頻拍(TDP)
・QT延長症候群に発生する心室頻拍
・心室を起源とするリエントリー(異常自動能あるいは激発活動を機序とする)
・QT延長とT波に続く心室性期外収縮によって,QRS波の振幅が基線の周りをねじれるように変動する。
・QRS波形が刻々と変化する多形性の心室頻拍(200〜250回/分)

*カテコラミン誘発多形性心室頻拍(CPVT)
運動や情動の変化、あるいはカテコラミン投与で、二方向性あるいは多形性の心室頻拍が誘発され、
心室細動に移行して失神、突然死を起こす致死的不整脈の一つである。極めて稀な疾患。



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◆第T度房室ブロック
・PQ時間 0.21秒(5mm)以上
・AH(His束上、房室結節内)ブロックが殆ど。治療の対象にはならない


◆第U度房室ブロック
(1)ウェンケバッハ型(モービッツT型)
・房室結節由来、予後良好
・ブロック後の休止期が長いと捕集収縮を生じる
(2)モービッツU型
・P波に続くQRS波が1拍ごとに脱落→2:1房室ブロック
・房室束、HV(His束以下)由来ブロックが殆ど
・WideQRSを伴う→His束以下の部位が障害
・予後不良→ペースメーカー
・薬物:β遮断薬(イソプロテレノールなど),アトロピンが有効。


◆第三度(完全)房室ブロック
・心房刺激が心室に全く伝導されない
・心室は自動能により独自に興奮(補充調律)
 His束より上位:40〜60/min→narrowQRS
His束より下位:30〜40/min→WideQRS
・心筋梗塞に完全房室ブロックを合併→心停止の危険→ペースメーカー
・薬物は無効。


◆心室性期外収縮
・予定されたより早く心室興奮が出現する。心臓の拡張が不十分な状態で心臓が拍動するため,脈拍欠損が起こる。
・ショートラン:心室期外収縮が3連発以上続く場合
・特徴:P波がなく幅広のQRS波。QRS波の幅は3mm(0.12秒)を超える。
・治療:Lown分類でV度以上のものは致死的不整脈への移行の危険性が高い。R on T型は心室頻拍や心室細動へ移行しやすく危険。
・薬物:精神安静薬やCa拮抗薬,β遮断薬を使用、急性心筋梗塞急性期にはキシロカイン,メキシチールなど。

◆心室細動
・心室が300/min以上に不規則に痙攣
<原因>
先天性のQT延長症候群、QT短縮症候群、ブルガダ症候群
カテコラミン感受性多形性心室頻拍、不整脈原性右室心筋症

◆QT延長症候群 QTc 0.48秒以上
・心筋細胞の再分極延長による
・先天性:家族歴あり(Romano-Wand症候群)
・後天性:薬剤に起因(三環系抗うつ薬など)
・トルサード・ド・ポアンツを惹起



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◆低電位
・肢誘導:すべて5mm未満、胸部誘導:すべて10mm未満
<原因>
・心筋の浮腫
・心嚢液貯留→電気的交互脈になりやすい
・心アミロイドーシス(四肢誘導で低電位,V1〜3誘導でQSパターン,1度房室ブロック)
・低体温(肢誘導のみ、J点の上昇)温めると治る

◆急性心膜炎
・びまん性にST上昇、ST上昇は軽度、鏡面現象なし

◆心筋炎
・何らかの原因で心筋組織に炎症
・初期症状:感冒様症状、消化器症状
・ST上昇、QRS延長、異常Q波、低電位
・心室内伝導障害:房室ブロック(合併しやすい)、脚ブロック、洞性頻脈


◆たこつぼ心筋症
・冠動脈の支配領域に一致しない一過性の左室壁運動異常
・ST上昇:胸部に加え、肢誘導のV誘導以上に認めたらこの疾患を疑う、鏡面変化なし
・T波陰転化(陰性T波)
・CK:1000IU/L以下
・60歳以上の女性に後発

ST上昇,T波陰転化、aVRでST低下があり、かつV1でST上昇がみられない


◆肥大型心筋症(HCM)
・原因:心筋量の増大、心筋線維の肥大、相対的な心筋虚血
@ 圧負荷:高血圧心臓病、大動脈弁狭窄症(求心性肥大)
A 容量負荷:大動脈弁閉鎖不全、僧帽弁閉鎖不全、心室中隔欠損
・V1〜V3:QRS高電位
・ST低下、陰性T波(ストレイン型ST-T低下)→V3〜V5中心に左右対称性の巨大陰性T波
・T・U・V・aVF・aVL:ST上昇
・QT時間延長(心室内伝導遅延)

◆拡張型心筋症
・左室内腔の拡大
・心臓全体の壁運動低下を特徴とする心筋疾患→うっ血性心不全
・ST-T低下、QRS幅増大、異常Q波
・脚ブロック
・高電位、低電位あり


◆ST部分について
・一部で上昇:心筋梗塞
・全部上昇:急性心膜炎
・ST低下:安定狭心症発作、急性冠症候群


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◆狭心症
・ST下降:U・V・aVF、V4〜V6で効率に出現
・ST低下の形態


<狭心症の分類>
【発症の誘因による分類】
@ 労作狭心症
 労作(運動)によって胸痛発作が起こる。冠動脈硬化による
A安静狭心症
 安静時でも胸痛発作が起こる。労作狭心症より進行していることが多い。

【臨床経過による分類】
@安定狭心症
 発症から1か月以上経過しており、一定の労作で胸痛発作が起こる。
A不安定狭心症
 発症から1か月以内の経過であったり、または突然胸痛発作が起きる、急に胸痛発作の頻度が高くなる、
 痛みの程度が強く持続時間が長い症状の狭心症。
 放置すると心筋梗塞に移行することがある。急性冠症候群の原因となる。

・運動負荷心電図有用
 →ST判断基準
B 水平or下行型ST低下
マスター:0.05mV以上
トレッドミル、エルゴメーター:0.1mV以上
C 上行型(J型)下降
J点より60msec、0.2mV以上
D ST上昇
0.1mV以上

・異型狭心症:夜間にST上昇
【治療】
ニトログリセリン(硝酸薬)の舌下投与、Ca拮抗薬、β遮断薬

◆心筋梗塞
@ ST上昇
A 異常Q
B 冠性T
消失は@→B→A

急性心筋梗塞→不整脈が死因となる

側壁梗塞
ST上昇軽度:T、aVL、V5、V6 
ST低下(対側性変化)
:U、V、aVF、V1〜V3

◆Brugada症候群
・遺伝子異常で突然死の可能性あり、アジア人男性に多い
・V1〜V3に完全あるいは不完全右脚ブロック様ST上昇
・V1〜V3を1肋間上げて記録する→典型的Brugada心電図
・coved型 (type 1) とsaddle-back型 (type 2、type3)の3種類に分けられる


◆J波症候群
・早期再分極症候群
・スラー型、ノッチ型
・下壁誘導(U・V・aVF)、側壁誘導(T・V4〜V6)のJ点上昇→心室細動の危険性


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◆ペースメーカー心電図
・センシング:感知
・ペーシング:電気刺激

(1)VVIモード
・心室でペーシング、心室の自己心拍(自己QRS波)を感知、自己心拍を感知した場合は、
ペーシングしない(抑制する)というモード。
・右室だけに1本のリード(刺激・感知兼用)留置
(2)VDDモード
・2か所で感知可能、リード1本
・心房接触部位は不安定でペーシングはできない
(3)DDDモード
・両方(心房と心室)でペーシング可能(感知可能、抑制・同期いずれも可能)
・心房・心室に1本ずつ計2本のリードが必要
<まとめ>
・徐脈症状があれば、原則ペースメーカー治療の適応
・緊急時は体外式、VVIモードが基本
・永久ペースメーカーは、VVIまたは、心房機能を温存する場合は、VDD、DDDモード


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◆電解質異常
・原因:腎機能低下やホルモン異常
(1)高K血症
・血清K>5.5mEq/L
・心筋の興奮からの回復時間が短くなり、QT間隔が短縮、特徴的なテント状T波が出現
・原因:腎不全など
・9.5mEq/L以上:テントT消失、サインカーブ波形、心室細動、心停止
(2)低K血症
・血清K<3.5mEq/L
・U波の出現、増高が特徴的、T波の平坦化、陰性化
・QT延長
・STも低下し虚血性心疾患と紛らわしい場合もある
・K濃度が著しく低下し、U波が大きくなる→U波がT波と融合(TU波・QT間隔とU波の区別がつかない)
 →このQT間隔(U波)の延長は、トルサード・ド・ポアンツや心室細動などを誘発
・原因:原発性アルドステロン症
(3)高Ca血症
・血清Ca>10mg/dL
・QT時間が短縮、T波の幅は変化しない。ST部分がなくなる(QRS波からそのままT波に移行)
・通常は重症不整脈には至らない
(4)低Ca血症
・血清Ca<8.5mg/dL
・QT延長が特徴。
 低K血症ではT波全体が延長しU波とともにQT(U波)延長として見られるのに対して、
 低Ca血症ではT波の幅は変化せずST部分が延長するQT延長
・QTの延長自体は低K血症と同じく、致死性の心室性不整脈を起こしやすい



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最後まで読んでくれて(印刷してくれて?笑)ありがとう。
自己流のまとめなので、ご自身でしっかり調べてくださいませ♪
合格をお祈りしています。


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